陸上のダイヤモンドリーグ第2戦の上海ダイヤモンドリーグが18日、上海スタジアムで開催される。

 男子110メートル障害世界記録保持者のアリエス・メリット(27=米国)、女子100メートルでオリンピック2連勝のシェリー・アン・フレイザー・プライス(26=ジャマイカ)ら、ロンドン五輪個人種目の金メダリスト6人が出場。さらには復活を期す女子棒高跳び世界記録保持者のエレーナ・イシンバエワ(30=ロシア)ら北京五輪金メダリストも多数エントリーした。新旧金メダリストが競演する華やかな大会となる。

 注目はメリットの記録だろう。昨年のダイヤモンドリーグ最終戦ブリュッセル大会で12秒80と、世界記録を0・07秒も更新。「携帯電話のパスワードが1285だったんだ」と、自身も記録に驚いた。12秒台の声を聞きたいが、この時期のメリットは全開にはならない。一昨年、昨年と13秒20台で、ともに劉翔(29=中国)に敗れている。その劉翔はロンドン五輪を途中棄権した原因のアキレスけんの故障が回復せず、今大会は出場しない。ライバルはロンドン五輪銀メダルのJ・リチャードソン(27=米国)になるが、メリットの優位は動かない。今大会で13秒00台を出せば、今季中の世界記録更新も期待できる。

 ロンドン五輪の再戦となるのは男子400メートル。金メダルを手にしたのはジュニアを卒業したばかりのキラニ・ジェームズ(20=グレナダ)で、43秒94の世界歴代9位の好タイム。米国選手以外では初の43秒台だった。銀メダルのルゲリン・サントス(19=ドミニカ共和国)、銅メダルのラロンド・ゴードン(24=トリニダード・トバゴ)らとともに、北京五輪金メダリストのラショーン・メリット(26=米国)が王国の威信回復を懸けて臨む。

 男子走り幅跳びは3人の五輪金メダリストがそろった。ロンドン五輪のグレッグ・ラザフォード(26=米国)、北京五輪のアーヴィング・サラディノ(30=パナマ)、アテネ五輪のドワイト・フィリップス(35=米国)。2年前のテグ世界陸上優勝者で、昨シーズンを交通事故と故障の影響で棒に振ったフィリップスの復調ぶりが注目される。

 女子100メートルのライバル対決も幕を開ける。カルメリータ・ジーター(33=米国)はロンドン五輪でフレイザーを0・03秒差まで追い上げた。スタートダッシュでリードするフレイザーと、後半型のジーターとタイプが異なる。昨年は3勝3敗と五分の対戦成績だった。

 今季はジーターが10秒95と早くも10秒台で走っているのに対し、フレイザーは200メートルを中心に出場している。今季初対決は、これまでとは違う展開になるかもしれない。

 ◆ダイヤモンドリーグは国際陸上競技連盟(IAAF)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各大会のポイント合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、アメリカ勢がそろう短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。