<ダイヤモンドリーグ第4戦・ユージーン大会展望>

 陸上のダイヤモンドリーグ第4戦のプレフォンテイン・クラシックが5月31日、6月1日と米国オレゴン州ユージーンで開催される。一部種目のエントリーが確定していないが、30日時点で男子の400メートル、1500メートル、3000メートル障害、走り高跳び、棒高跳び、円盤投げ、女子では400メートル障害、ハンマー投げと8種目でロンドン五輪メダリスト全員が出場する。今季最も豪華なメンバーの大会となった。

 大会名となっているスティーブ・プレフォンテインは1970年代に米国記録を2000メートルから1万メートルまでの7種目で出しながら、24歳で交通事故死した伝説のランナー。今年も中・長距離種目に注目選手が多数集まった。

 男子800メートルには世界記録保持者のデービッド・ルディシャ(24=ケニア)が登場する。今季ダイヤモンドリーグはドーハ大会、ニューヨーク大会と2連勝しているが、天候に恵まれないこともあって記録よりも勝負優先の展開となった。気象条件が良ければ自身の世界記録(1分40秒91)に挑戦するだろう。

 男子5000メートルはバーナード・ラガト(38)とゲーリン・ラップ(27)の米国勢同士の対決が盛り上がりそう。

 ラガトは2007年の世界陸上大阪大会で1500メートルと5000メートルの2冠を達成した選手。ケニアからの移民選手で、多民族国家の米国を象徴する存在。人気も高いという。

 ラップはプレフォンテインと同じオレゴン大学出身の地元選手。昨年のロンドン五輪は1万メートルで銀メダルと健闘した。26分48秒00の白人選手世界最高記録を2年前の今大会で出している。

 ラガトが2011年に出した12分53秒60の米国記録が2人のターゲットとなる。

 男子1万メートルにはロンドン五輪長距離2冠のモー・ファラー(30=英国)が出場する。ファラーは2年前からオレゴン州に練習拠点を移し、ラップと同じアルベルト・サラザール・コーチの指導を受けている。ユージーンは準地元と言っていい。

 同種目には世界記録保持者のケネニーサ・ベケレ(30=エチオピア)もエントリーしている。2010年の故障以降低迷したが、昨年のロンドン五輪は4位と復活した。

 ファラーが現在ラスト勝負に最も強いと言われているが、ベケレも全盛時は負け知らずだった。2人の対決も白熱しそうだ。

 会場のヘイワードフィールドは近年、今大会と全米選手権が開催され好記録が多数誕生している。男子400メートルのキラニ・ジェームズ(20=グレナダ)や女子100メートルのシェリー・アン・フレイザー・プライス(26=ジャマイカ)らの短距離勢には、世界歴代5位前後の好タイムが期待される。

 また、男子棒高跳びの世界記録はセルゲイ・ブブカ(ウクライナ)の6メートル14でこれを破るのは難しいが、ルノー・ラビレニ(26=フランス)は世界歴代2位の6メートル05を更新する可能性がある。◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル〜8位1000ドル)。各大会のポイント合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、米国勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。