陸上のダイヤモンドリーグ第5戦のゴールデンガラが6月6日、イタリアのローマで開催される。100メートルと200メートルの世界記録保持者、両種目で五輪2連勝のウサイン・ボルト(26=ジャマイカ)がビッグゲームに今季初登場。ロンドン五輪個人種目金メダリストは、ボルトを含め8人出場する。

 最大の注目は男子100メートルに出場するボルトが何秒で走るのか。そして1カ月前のレースで苦戦したボルトが優勝できるのか。

 ロンドン五輪後には走り幅跳びや400メートルなど、他種目への進出もにおわせていたボルトだが、昨年11月の段階で今季も100メートルと200メートルに集中すると明言。2月、3月とローカル試合で400メートルを走るなど、例年と同じ調整ぶりだった。3月末にはリオデジャネイロの特設会場で行われた150メートルに出場し14秒42で優勝。4年前に自身が出した世界最高記録に0・07秒と迫った。

 しかし出場予定だった5月4日のジャマイカ国際招待100メートルを、太もも裏の軽い痛みを理由に欠場。同8日のケイマン諸島の大会は10秒09と低調な記録で、自己記録が0・4秒下の選手に同タイムと苦戦した。

 昨年の今大会は9秒76の好タイムで優勝。前週の10秒04から一気に調子を上げた大会だった。今季も9秒8前後の記録を期待したいところだが、ケイマン諸島の走りを見ると不安は拭えない。

 スタートを得意とするロンドン五輪銅メダリストのジャスティン・ガトリン(31=米国)が先行し、ボルトが追い上げる展開が予想される。ドーハ、ユージーンと今季のダイヤモンドリーグ2試合で勝っているガトリンが逃げ切る可能性もありそうだ。

 男子の棒高跳びと砲丸投げ、女子走り幅跳びの3種目に、ロンドン五輪のメダリスト3人が全員出場する。特に男子棒高跳びは2日のユージーン大会で金メダリストのルノー・ラビレニ(26=フランス)が5メートル95の今季世界最高、銀メダルのビエルン・オットー(35=ドイツ)も5メートル90とハイレベルの戦いを演じた。6メートルジャンプが期待できる。

 女子走り高跳びの新旧女王対決も注目されている。2メートル08の世界歴代2位記録を持つブランカ・ブラシッチ(29=クロアチア)が、先月25日のダイヤモンドリーグ・ニューヨーク大会に優勝。雨のため記録は1メートル94だったが、2011年のアキレス腱の手術から見事に復帰した。

 2011年のテグ世界陸上、昨年のロンドン五輪と連続金メダリストのアンナ・チチェロワ(30=ロシア)との対決でどこまで記録を伸ばしてくるか。2メートル5前後の好記録が期待される。◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各大会のポイント合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。