<東京国体:陸上>◇7日◇味の素スタジアム

 高校陸上界の歴史の扉が開かれた。少年男子A3段跳びで山本凌雅(りょうま、18=諫早農高)が2回目に16メートル10と、高校生初の16メートル台をジャンプした。「狙っていました。着地した瞬間に超えたと思いました」と声が弾んだ。

 3段跳びは高校記録の15メートル84をはじめ、歴代上位記録はすべて1980~90年代に出されたもの。“現代っ子”の挑戦はことごとく跳ね返されてきた。山本は昨年秋に大きく成長し、国体は15メートル44で3位。“現代っ子”のトップレベルに進出した。「高校3年になって16メートルの目標を立てましたが、そこまでイケる自信があったわけではありません」。

 しかし、8月のインターハイに15メートル79の高校歴代3位で優勝。向かい風1・3メートルの悪条件で高校記録に迫り、記録更新と大台突破の期待が高まった。昨年からの進歩はどこにあったのか。「自分の武器はステップの距離が大きいこと。そこを磨くことで“タメ”のある跳躍が身につきました」。

 名前は“りょうが”となる予定だったが、「両親がお寺の人と話して“りょうま”でもいい、となったみたいです」。長崎を舞台に活躍した坂本龍馬を「父は意識していたかもしれません」と笑う。

 歴史の扉を開けた“りょうま”が目指すのはもちろん世界である。五輪は2004年、世界陸上も2007年を最後に日本代表を送り込めていない種目である。「そこは気になっていたところで、自分がレベルを上げていきたい気持ちはあります。(五輪&世界陸上に)出るだけでなく通用する選手になりたいので、大学に進んで技術をもっと磨きたい」。平成の“りょうま”に期待するところは大きい。