<陸上:実業団女子駅伝中日本大会>◇20日◇岐阜県庁発着6区間42・195キロ

 デンソーが2時間15分54秒で2年連続3回目の優勝を達成。大会記録を1分近く更新して豊田自動織機との2強対決を制した。

 1区で石橋麻衣(24)が区間新でリードを奪ったデンソー。2区で1秒差まで追い上げられたが3区の水口侑子(28)が17秒に差を戻す。4区で8秒差まで詰められたが、5区の高島由香(25)が区間新で57秒差に突き放した。6区の2011年テグ世界陸上代表だった浅羽加代(30)が危なげなく逃げ切った。

 若松誠監督は高い目標を設定するタイプだが「優勝タイムは予定通り。1区で豊田自動織機を十分に離してくれたし、苦しくなるかもしれないと思った5区で高島が気持ちの入った走りをしてくれた」と、選手たちの頑張りをたたえた。

 チームの充実は、10キロ以上の長距離区間を担う高島と水口の成長によるところが大きい。「昨年までは“しのぐ”区間でしたが、今年は他チームのエースと互角の戦いができる。(故障上がりの)浅羽が今回のようにアンカーに回れば、前の区間の選手たちが安心でき、チームとして安定感が出る」(若松監督)

 高島は高校駅伝の強豪の興譲館高出身で、2年時に全国高校駅伝優勝を経験した。水口は地方国立大の三重大出身の異色選手で、地道な努力でここまで強くなった。成長過程の違う2人がチームの両輪に育ったところにデンソーの強さがある。

 5年前まで全日本実業団対抗女子駅伝では10位台の中堅チームだったデンソーが、若松監督が就任した2009年から順位が上昇し始めた。昨年は2位でチーム最高順位を記録したが、「優勝争いに加われなかった2位でしたから」と満足していない。「去年できなかった優勝に再チャレンジしたい」

 前回優勝のユニバーサルエンターテインメントには、モスクワ世界陸上1万メートル5位の新谷仁美(25)がいる。2年前優勝の第一生命は驚異的な選手層の厚さが特徴。今年のデンソーは、それらの優勝経験チームに対抗できる力をつけている。