世界の室伏が等々力からロンドンにビッグアーチをかける―。今日8日に行われるセイコー・ゴールデングランプリ川崎(等々力陸上競技場、日刊スポーツ新聞社共催)の記者会見が7日、川崎市内で行われ、今季初戦となる男子ハンマー投げの室伏広治(36=ミズノ)が出席した。今大会は国際陸連(IAAF)のハンマースローチャレンジと位置付けられ海外の強豪選手も出場。ライバルとの争いを刺激に、世界へのステップアップを誓った。女子100メートルでは昨年のアジア大会金メダルの福島千里(22=北海道ハイテクAC)が、同銀メダルのフビエワと再戦する。

 室伏にとって大きな意味を持つシーズンが幕開けする。来年のロンドン五輪に向け、いよいよ選考レースが開始。その手始めとして、等々力からスタートを切る。川崎駅に隣接する商業施設内での記者会見。通りすがりの市民らが見守る中、ニュー「アジアの鉄人」はすっきりした表情で、今の心境を口にした。

 室伏

 こういう時期に日本で国際大会ができることに特別な思いがある。深い意味がある大会。自分にとっては大事な初戦。今後へのきっかけとしたい。

 ハンマースローチャレンジと位置付けられる今大会だが、東日本大震災の影響で海外招待選手の参加が懸念された。しかし、昨年の世界ランク4位のナザロフ(タジキスタン)、同5位のパルシュ(ハンガリー)らライバルたちが予定通り参加。室伏は「多くの選手が日本復興のために何とかしたいと願っている。そんな思いが大会につながった」と感謝の思いを口にする。まずは初戦の等々力で最高の舞台が整った。

 この冬は拠点とする米国で、体本来の機能を高めるトレーニングに重点を置いた。理学療法士ロバート・オオハシ氏の指導もあり、持病の腰痛の影響もなく、心身ともに最高のコンディションで今季初戦を迎えることになった。「体の回復をポイントに意義ある練習ができたと思う」。この日も具体的な記録こそ明言しなかったが、「ライバルの姿を刺激にコンスタントにいい投てきをしたい」と短い言葉に決意を込めた。

 8月の世界選手権(韓国・大邱)は来年のロンドン五輪の前哨戦となる。今後を占う上でも等々力は大事な初戦だ。「歯を食いしばっている姿を見せるわけじゃないけど、限界に挑む僕の姿を見てほしい。それが大きなメッセージになると思います」。室伏のビッグスローは、ロンドンへの夢の懸け橋となるのか。注目の第1投が、いよいよ投じられる。【佐藤隆志】