<陸上:丸亀国際ハーフマラソン>◇5日◇香川・県立丸亀競技場発着

 2時間7分台が見えた-。市民ランナーの星・川内優輝(24=埼玉県庁)が予告通り自己記録を更新し、五輪切符をかけた今月26日の東京マラソンへ完璧なシミュレーションをこなした。序盤からマラソンを想定した1キロ3分ペースを徹底。スペシャルドリンクを置いた5カ所の給水ポイントも難なくこなし、5キロごとのラップもすべて14分台でまとめた。自己ベストを22秒更新する1時間2分18秒の記録(27位)に「東京での2時間7分台に自信がついた」と準備万端。さぁ夢のロンドン切符へ、丸亀で大きなステップを踏んだ。

 川内にとって、丸亀はあくまで東京を想定した「練習」だった。序盤、世界歴代3位の記録を持つキソリオが飛び出した。だが競争には参加せず、設定ペースを守った。入りの5キロをキソリオが14分2秒で爆走する中、14分38秒で通過。その後も1キロ2分50秒台で走った。東京のペースメーカーが25キロまで刻む「1キロ3分」を念頭に、落ち着いてレースを進めた。

 ハーフにもかかわらず、5つの給水ポイントすべてにドリンクを準備した。疲労に関係なく、次々と自らの容器に手をかけた。取っ手に輪っかを付け、スピードを落とさず取れるよう工夫を凝らした。1度もミスなく給水できたことで、終盤も力強い足取りだった。競技場に戻ってくると、トラック手前で一気に5、6人をごぼう抜き。さらに競技場内で1人かわした。1時間2分18秒の自己記録更新でも、倒れなかった。

 川内は「東京での2時間7分台に自信がつきました。(5度の)給水ごとにペースは上がったし、改良してきたスペシャルドリンクの効果は大きかった。全部しっかり取れたし、よかった」。昨年の丸亀では1時間2分40秒の自己記録をつくり、3週間後の東京で2時間8分37秒を記録した。同じ流れの今回は、丸亀で22秒短縮。単純計算で44秒を差し引いても、今度の東京は2時間7分53秒。公言する「7分台」は十分可能だ。加えて給水効果で、倒れなくなった。狙うは往年のQちゃん(高橋尚子)のように、笑顔で東京のゴールに飛び込むことだ。

 前夜は讃岐名物カレーうどんの「ジャンボ」盛りを注文。通常の3人前をぺろりと平らげ、もう1人前追加した。母美加さんは「食べられることが調子のバロメーター」と笑う。我流を貫き、着実なステップを踏む川内は「あとはケガをしない、風邪をひかない」。いざ東京-。3週間後に迫る決戦に向け、戦う準備が整った。【佐藤隆志】