日本陸連は12日、都内でロンドン五輪マラソン代表メンバー男女6人を発表した。男子は藤原新(30=東京陸協)のほか山本亮(27=佐川急便)中本健太郎(29=安川電機)が選出され、堀端宏行(25=旭化成)が補欠となった。

 地味な候補が、ド派手候補を打ち破って当選した。「第3の男」で川内と競り合った中本は北九州市の所属する安川電機本社で、代表選手発表の会見中継を見守った。名前を呼ばれても、大喜びの山頭直樹監督(42)の横で固まったまま。「心の中ではすごい喜んでました」。山頭監督は「影の薄い地味な選手。でも諦めずにやる」と表現。その地道な性質が、ロンドンへとつながった。

 「びわ湖」で自己新の2時間8分53秒も、日本選手2位の5位だった。「長い1週間だった。どうしても考えて、眠れない時もあった」。やはり意識せざるを得なかったのが川内。「話題の人。自分にとっても、刺激になった」。真逆にいる中本は、ただ吉報を祈って運命の日を迎えた。

 中本の運命を変えたマラソン。力を発揮できず駅伝メンバーから漏れかけ、追い込まれた時期があった。そんな中本を救ったのが、山頭監督のマラソン転向への勧め。そこから「ガラッと人生が変わった」と中本はいう。粘り強い走りが武器。山頭監督は「夏場の方が力を発揮する」。五輪の目標に拓大の先輩「藤原さんに勝ちたい」と掲げた。

 昨年、結婚した玲子夫人が7月に第1子を出産予定。大きな喜びと励みを得て、ロンドンに挑む。【実藤健一】