日本陸連は11日、大阪市内でロンドン五輪に出場する日本代表メンバー39選手と男女リレーの候補選手を発表した。注目の男子やり投げは、既に内定しているディーン元気(20=早大)に加え、村上幸史(32=スズキ浜松AC)も順当に選出。ディーンはライバル村上との合同合宿を企画し、「二人三脚」で表彰台を狙うプランをぶち上げた。

 ディーンの明かした強化プランは、村上との「二人三脚」だった。日の丸ジャージーを着込み、晴れ晴れした表情で「村上さんと合宿させていただきたい」。日本選手権で80メートル台のハイレベルな勝負を繰り広げたばかり。その感触が残る中、頭に浮かんだのは実戦さながらの競争だった。「お互い競い合うことで、緊張感のある練習ができる」。具体的な日程、場所は決まっておらず、構想の段階だが「ボクから相談させてもらえたら」。12歳下の新王者ははっきり言い切った。

 09年世界選手権銅メダルという輝かしい実績を持つ村上だが、これまでは孤独だった。アテネ、北京と五輪に出場したが予選落ち。1人で戦う難しさを味わっていた。昨年、まだ発展途上だったディーンに「一緒に世界で戦おう」と声をかけた。世界の上位を狙うには、切磋琢磨(せっさたくま)する関係が必要だった。過去を見ても、89年にアジア記録(87メートル60)を樹立した溝口和洋には、吉田雅美という4歳上の強烈なライバルがいた。互いに競争した結果、20年以上たった今も残る大記録が飛び出した。

 今回の五輪は予選から決勝まで中2日あり、現地での過ごし方も重要だ。1人より2人で高め合った方が結果にも結び付きやすい。ディーンは「村上さんからは『ロンドンの日本食屋を頼んだ』なんて言われてます」と笑う。日本選手権では84メートル03の大アーチをかけたものの「真っすぐ飛んでいない」と不満げだ。そこで「やりが真っすぐ飛べば」と問われるや、不敵に「(距離は)未知数です」。大きな可能性を秘めた若者は、ライバルとの競争でまた一皮むけそうだ。【佐藤隆志】