<とくしまマラソン>◇20日◇徳島市福島橋付近発、徳島市陸上競技場着(42・195キロ)

 今秋のアジア大会陸上男子マラソン代表の公務員ランナー川内優輝(27=埼玉県庁)が、レース途中にトイレへ駆け込むアクシデントに見舞われながら、大会新の2時間15分25秒で優勝した。腹痛を感じながら走り続けたが、20キロすぎにトイレへ。“緊急事態”に約3分間を費やした。優勝はしたが、ふがいない結果に、頭を下げ続けた。

 序盤からトップで独走していた川内の姿がコース上から消えた。徳島県を流れる吉野川にかかる西条大橋を渡る手前、23キロ付近にさしかかったときだった。腹痛を感じてコース沿いのトイレに駆け込んだ。約3分間、ロスタイムが発生した。

 10キロ地点から異常を感じていた。「20キロ地点までは(トイレを)我慢していたが、いよいよ危なくなってきて…。再び走り始めてからは1秒でも早くゴールしなければ。こんな恥ずかしいことをして悪いタイムになったらどうしようもないと思った」。

 今大会で34回目となったフルマラソンで初めての経験だった。3月30日の韓国・仁川マラソン(ハーフ)では前日に食あたりした。「吐いて眠れなかったし、当日も朝食を食べられなかった。今日よりひどい状況で最悪だった」。だが今回はレース開始前の状態は悪くなかった。「走りながらだんだんおかしくなった。ふがいないアクシデント」。レース中は“限界”との闘いでもあった。

 昨夏、ゴール後に脱水症状を起こし病院へ運ばれたこともあり「脱水症状になることを気にして水分を取り過ぎたことが失敗だった」と反省した。

 約3分間の“中断”はあったが、2時間15分25秒の大会新記録でV。沿道からは阿波おどりなど徳島らしい応援を受けた。「お祭りとして楽しもうという土地柄を感じた。でもおなかが気になって楽しむ余裕がなかった。今度はもっと良い状態で挑んで楽しみたい」。情けなさを振り切り、リベンジを誓った。【辻敦子】