渡辺康幸監督(41)最後の箱根を、有終の美で飾る!

 第91回東京箱根間往復大学駅伝(来年1月2、3日)の監督会見が10日、都内で行われ、出場する21チームのエントリー選手(各チーム16人以内)が発表された。過去13度の総合優勝を誇る早大は、12年間指揮を執った渡辺監督が箱根を最後に退任する。11月の全日本大学駅伝7位の惨敗から下克上で最後に花を添える。

 12年の監督生活の集大成だ。現役時代は4年で3度の区間賞をたたきだし、監督としては史上3校目の大学駅伝3冠を達成。箱根と切っても切れない渡辺監督が、今季で去る。「力は6~7番だが、箱根は別物。最後だから、やはり優勝したい」。

 11月30日。東伏見にある早大の教室に、100人近い競走部の部員が集められた。「今季で最後の箱根になる。何とか優勝したい」。渡辺監督の突然の退任発表に、部員は言葉をなくした。しかし、その日から約10日間。山下主務は「優勝をプレゼントしたいと全員が血眼になっている」と、有終の胴上げを誓った。

 11月の全日本では、シード落ちする7位に沈んだ。渡辺監督が指揮を執って以来の最低成績だった。竹沢健介、大迫傑ら大エースを育成してきた渡辺監督だが「今年はエースがいない分、総合力で勝負」。しかし、その力を、全日本では出せなかった。それだけに箱根は「下克上という気持ちで挑む」。

 03年4月に監督に就任。箱根で10位以下に沈むのが当たり前だった母校を、10年度には3冠に導いた。しかし、「その分、その後、これを超えるにはどうしていいか迷走してしまった」。11年度以降、3年間は総合4位、5位、4位と、もう1つ優勝に届かない。

 過去、山登りの5区で2度の区間3位になった山本修平(4年)が今季は準備万端だ。昨季はアキレスけん痛で欠場。その屈辱を今季で晴らす。「山本も最後。彼での出来で優勝が決まれば最高」。有終の美は、箱根最大の見どころ、山登りが鍵を握っている。【吉松忠弘】

 ◆渡辺康幸(わたなべ・やすゆき)1973年(昭48)6月8日、千葉市生まれ。中学で陸上を始め、市立船橋高を経て早大進学。箱根のエースとして活躍し、3度の区間賞と1度の区間新をマーク。95年ユニバーシアード1万メートルで金メダルに輝いた。96年エスビー入社後はケガが多く、02年に引退。03年4月に早大競走部の監督に就任した。