<全国高校総体:陸上>◇第4日◇7月31日◇大分銀行ドーム◇女子100メートル

 2年ぶり出場の土井杏南(埼玉栄3年)が制した。中盤からトップに躍り出ると、昨年優勝の野林祐実(熊本・九州学院3年)らを引き離し11秒70でゴール。自身が持つ高校記録11秒43には届かなかったが、ロンドン五輪代表らしい貫禄勝ちで2度目の優勝を飾った。

 同世代の選手を寄せつけなかった。土井は中盤から加速すると、2位以下の選手を突き放した。0・23秒差をつける圧勝でロンドン五輪代表の貫禄を示した。「ほっとしました。最後のインターハイなので勝つことだけを考えた」。レース後、勝ち慣れているはずの土井が安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 勝利に飢えていた。昨秋以降、腰痛に悩まされた。5月の県予選はまさかの2位通過。6月の北関東地区予選こそトップ通過したが、万全の状態でレースに臨めない日々が続いた。それだけに記録より優勝にこだわった。2年ぶり出場の今大会を制し、復調の手応えも得た。

 思い出の地も勝利を後押しした。「中2の時に初めて日本一になったのが(今大会と同じ)大分で開催された全中でした。本当にいい場所だなと思います」と笑顔を見せた。

 昨年は五輪出場で高校総体には参加しなかった。ここまで支えてくれた仲間たちに恩返ししたい気持ちも強い。「昨年はみんなが支えてくれた。今年は自分がチームに貢献できるよう役割を果たしたい」。全力を尽くしすべての競技で勝ちにいくつもりだ。