60年の歴史を誇るF1が、分裂への第1歩を踏み出した。フェラーリ、トヨタなどF1チーム協会(FOTA)の8チームが19日、シリーズを運営する国際自動車連盟(FIA)の要求する来季のF1への無条件エントリーを拒否し、新シリーズ立ち上げ準備に入るという声明を発表した。

 4000万ポンド(約61億円)以下の予算制限を含む来季の新ルールを、FIAが強行導入しようとしたのが引き金となった。撤回を求めるFOTA側と、譲歩をしないFIA側の交渉は平行線。FIAが設定した19日の無条件エントリー期限に、チーム側は決別の姿勢を初めて明確に示した。

 形の上は新ルール導入での対立だが、背景にはマックス・モズレー会長を頂点とするFIAの独裁的体質への反発がある。新ルール以外にも、シーズン開幕直前に年間王者決定方法の変更(その後に延期)もあった。収益の分配方法も不透明で、チーム側は不信感を募らせていた。声明には「透明性の高い運営組織を持つ」と明記されている。

 新シリーズは「有名ドライバー、ブランド、スポンサーなどを受け継ぐ」とされるが、入場料の値下げ以外の具体策はない。ただし、トヨタ自動車本社のモータースポーツ推進室によると「FOTAの決定を支持する」としている。FOTA側にはトヨタ、ルノー、BMW、フェラーリと世界的自動車メーカーが並び、資金力はある。FIAが大幅な譲歩をしないと、分裂が本格化しそうな状況だ。