絶対王者、内村航平(26=コナミ)が史上最多8度目の優勝へ盤石のスタートを切った。跳馬で大技リ・シャオペンを初めて披露すると、全6種目で高得点をマーク。92・150点で2位田中佑典(25)に2点以上の差をつけてトップで26日の決勝に進出した。

 この日の3種目目、内村は1番手として跳馬に臨んだ。前日から「やる」と宣言した通り、難なく成功。着地で両足がラインを出たため0・3点の減点はあったが「さらっと跳べたし、立てたことがよかった。あれで流れに乗れた」と満足そうに振り返った。

 成功者は世界でも数人、もちろん日本人では初。跳馬のスペシャリストでも難しい技だが「走って入るよりも、技に入りやすい」と言ってのけた。勝ち続けてもなお進化を目指すのには理由がある。「僕が難度を上げれば、周りもついてくる」。願い続ける目標は団体優勝。この日、3~6位を大学生が占めたことを喜び「いい刺激を与えているのかなと思う」と話した。

 「あまり関心がない」という優勝回数だが、8度目の優勝となれば同じ7度の竹本正男、小野喬を抑えて単独トップ。「体調を整えて臨みたい」。内村は決勝に向けて淡々と、それでも力強く話した。【荻島弘一】

 ◆リ・シャオペン 五輪と世界選手権で計12個の金メダルを獲得した李小鵬(中国)が編み出し、その名がついた技。跳馬に手をついた後は、これまで内村がやっていたヨー2(前転跳び前方伸身宙返り2回半ひねり)と同じだが、踏み切りまでが異なる。ロンダートから後ろ向きに跳躍板を踏み切り、空中で体の向きを半分ひねって跳馬に前向きで手をつく。その動作が他の種目ではないため、非常に難しいとされる。