世界5位の錦織圭(25=日清食品)が2年連続の決勝進出を逃した。同3位のマリー(英国)に3-6、4-6の1時間37分でストレート負け。マスターズ大会初優勝は持ち越しとなった。この敗戦で、11日発表の最新世界ランキングで、6位以下が確定した。次戦は10日開幕のマスターズ大会イタリア国際(ローマ)に第5シードで出場する。
最後、無理に打ちにいったフォアがネットを揺らし、2週前のバルセロナオープンからの連勝が8で止まった。錦織は反撃の糸口をつかめず「(流れを変えるところが)今日はなかった。ミスが多くて、あれではセットも取れない」と言うほど、マリーにうまくしてやられた。
ともに似たタイプだ。一発必中のショットは大事な場面だけに使い、展開と読みで勝負する。しかし、マリーが錦織と違ったのは安定性。できるだけ凡ミスを減らし、数少ないチャンスをものにした。打っても決められない守備力を前に、錦織は「余裕がなく、プレッシャーの中でテニスをやらされていた」と振り返った。
いつもなら持ち味の対応力で、違った引き出しを開けることができたかもしれない。しかし、この日は「頭の方が疲れていた」。4日連続で夜の試合に組み込まれ「なかなか大変な1週間だった」。睡眠不足などもあってか集中力が低下し、対応策を見つける頭が働かなかった。
戦略という「頭」、あきらめない「気持ち」、そして連戦を耐え抜く「体」の3条件がそろってこそ、技術が発揮できる。特に178センチと小柄な錦織は3条件をフル回転しなければ、体力やパワーで上回るビッグ4には勝てない。これも過酷な経験のひとつだった。
すぐに次戦のイタリア国際が始まる。昨年は、マドリード決勝で臀部(でんぶ)の痛みが出て欠場した。今年は大きなケガがなく、まだ1度も、試合を途中棄権したこともない。「体」は間違いなくできあがっている。「気持ち」を切り替え、「頭」をクリアにすることで「またリセットしてやれば大丈夫」。うなだれている暇はない。24日開幕の全仏まで、もう少しだ。【吉松忠弘】


