男子レスリングのエース高谷惣亮(26)が、7年越しの「リベンジ」を果たした。世界選手権(9月・米ラスベガス)フリー74キロ級代表の高谷は団体戦に所属するALSOKの一員として出場。チームは予選で敗退したが、秋田市役所の宮原崇に勝って「これで世界に挑める」と話した。

 新潟での日本代表合宿を辞退してまで出場したのは「会社のために力になりたかった」から。チーム事情で86キロ級に出場することで「体が大きく、パワーのある外国人に慣れる」狙いもあった。そして「最大のターゲット」が予選リーグ3試合目で対戦した宮原。拓大1年の大学選手権決勝で敗れた相手に「どうしても勝ちたかった」と言った。

 京都・網野高3年で全日本選手権準優勝し、鳴り物入りで拓大入り。ルーキーながら決勝に進出した高谷は、明大4年の宮原に高くなった鼻を折られた。「悔しくて、悔しくて」と言うが、この1敗が成長につながったのは間違いない。

 拓大時代、同じ階級の大学生で唯一敗れた宮原に、7年間の成長の跡を見せつけた。フォール勝ちし、ガッツポーズも出た。耳元で「強くなったな。世界選手権、頑張れよ」と激励され「うれしかった。胸につかえていたものが、すっとしました」。かつての「恩人」を倒し、高谷は世界選手権で昨年の2位を上回る頂点を目指す。【荻島弘一】