【ウォリック(英国)8日=岡崎悠利】南アフリカが64-0で米国に圧勝し、準々決勝進出を決めた。日本の8強入りはさらに厳しくなり、明日10日のスコットランド-サモア戦の結果次第となった。日本代表WTB松島幸太朗(22=サントリー)は11日の米国戦に向けて集中する一方、決勝トーナメントでオーストラリアとの対戦を待ち望んだ。

 南アフリカが米国に大勝し、B組1位通過を決めた。自力突破の可能性がない日本は、スコットランドが10日のサモア戦で勝ち点2以下でないと8強進出を絶たれる。同日の練習後、結果を知った松島は「(他試合の結果は)自分たちじゃ何も変えられない。アメリカに勝つことだけ」と気持ちを集中させた。ただ、報道陣との会話の中で一言「サモアに期待するだけですね…」とも漏らした。

 可能性は低いが、決勝トーナメントに思いをはせた。日本が2位通過し、ワラビーズ(オーストラリア代表の愛称)が1位通過すれば、準々決勝で対戦する。昨季、世界最高峰リーグ「スーパーラグビー(SR)」のワラタス(オーストラリア)でプレーした松島は「知り合いもいっぱいいる。準々決勝に出られれば楽しみ」と対戦を望んだ。ワラビーズの31人中12人がワラタスの選手。松島はその選手たちと約半年間、練習を積んだ。スターCTBアシュリークーパーの走るコース、FWの使い方など毎日ノートに記録。ノートは英国に持ち込み、練習で試すなど活用してきた。

 南アとの初戦は後半29分にFB五郎丸のトライを演出した。このサインプレーはワラビーズに学んだもの。「テストマッチでワラビーズが南アからトライしたプレーを見て、アレンジした」。練習以上の出来栄えで「自分たちでも『おおっ!』となった」と、冗談まじりに胸を張った。

 松島は今大会、3試合ともフル出場。「体が強い国とやるとダメージはある。南ア、サモアの後は体がきつかった」と話しつつ、「いい経験ができている。この先のラグビー人生でも宝物になります」と続けた。88キロの体重で50メートル走を6秒1で走るスピードとしなやかなステップ。攻撃の核となる松島は米国戦へ「体と体力で負けない。自信を持って臨みたい」と言葉に力を込めた。

 ◆松島幸太朗(まつしま・こうたろう)1993年(平5)2月26日生まれ。父がジンバブエ人で、南アフリカ・プレトリア出身。ポジションは主にCTB、FB。神奈川・桐蔭学園高3年で花園優勝。卒業後は南アのシャークス育成組織で2年間プレー、現在サントリー所属。175センチ、88キロ。

 ◆大会方式 1次リーグは5カ国総当たりの勝ち点制で上位2カ国が準々決勝進出。<1>勝ち4ポイント(P)<2>引き分け2P<3>負け0P<4>4トライ以上1P<5>7点差以内の敗戦1P。ポイントで並んだ場合は<1>当該国同士の直接対決の結果<2>得失点差<3>総得点<4>トライ数<5>10月の世界ランキングで順位を決定。なお、今大会のポイント上位12カ国は19年ラグビーW杯日本大会の予選を免除される。