リオデジャネイロ五輪でメダルを狙う世界ランク4位の福原愛(27=ANA)が、女子シングルス6回戦で19歳の加藤杏華(十六銀行)に3-4で敗れる波乱が起きた。欠場した前回大会を除くと、福原が準々決勝に進めなかったのは10年以来。3ゲームを先取しながら、4ゲームを奪われての大逆転負けに悔し涙を流した。

 福原は敗北に目を赤くして言った。「リオ五輪の糧にするしかない。すごく悔しいし、自分にも腹が立ちますし、時間を巻き戻したいし、夢だったらいい」。

 シングルス一本に絞り、3年ぶりの優勝を狙った中で敗れた。しかも相手は日本ランク30位。県岐阜商高2年だった一昨年は8強入りも、国際舞台の活躍経験が少ない社会人1年生。五輪で中国勢を倒して金メダルを思い描くエースが、思いがけず取りこぼした。

 5回戦から前兆はあった。埼玉・正智深谷高3年の牛嶋に第1、第3ゲームを失って、苦しんだ。6回戦では速いラリーから両ハンドの強打を気持ちよく決め、3ゲームを連取。立ち直ったかに見えた。だが、相手が速さに慣れてきた第4ゲーム以降は「自分が攻め過ぎて、相手が見えなくなってしまった」と自滅した。女子日本代表の村上監督も「単調なラリーだった」と、試合運びのまずさを指摘。昨年10月の地元仙台での女子W杯準決勝でも3-0から敗れていただけに、同じ失敗を繰り返してしまった。

 大会直前からドタバタもあった。リオを目指して1年7カ月間、指導を受けてきた元全日本女王の馬場美香コーチが体調不良に陥り、急きょコンビを解消。02年から12年ロンドン五輪後まで教わった、中国で子育て中の張莉梓氏に復帰を依頼した。「(影響は)まったくありません。私の責任です」と言い切ったが、万全の状態にはなかった。

 来週からはワールドツアー・ハンガリーオープン、同ドイツオープンと転戦する。「同じ負け方をしてはいけない」。自身に言い聞かせるように、大きく息をついた。【鎌田直秀】