フィギュアスケート女子の浅田真央選手(26=中京大)が10日に引退を発表した背景には、1日までの世界選手権で日本女子が振るわず、来年の平昌冬季五輪の出場枠が前回までの「3」から「2」に減ったことも影響したとみられる。同選手は12日に東京都内で記者会見する。

 昨年12月の全日本選手権で12位に終わった直後は来季も現役を続けるかと問われ「そうですね、はい」ときっぱり答えたが、自身が出場できなかった世界選手権で状況は変わった。五輪代表争いは、今季のグランプリ(GP)ファイナル2位の宮原知子選手(関大)や世界選手権5位の三原舞依選手(神戸ポートアイランドク)、将来のエースと期待される15歳の本田真凜選手(大阪・関大高)らがひしめく大激戦になった。

 ある現役のトップ選手は「2枠に減って、厳しくなったという思いはあったと思う」と浅田の気持ちを推察した。日本スケート連盟関係者も「世界選手権の結果は待っていたと思う」と話した。5月に入ると、来季のGPシリーズ出場選手の選定が始まる。同連盟関係者は「デッドラインが決まっていた中で(来季)出るか出ないかを判断しないといけなかった」と引退のタイミングを分析した。

 浅田選手の登場で日本連盟はスポンサーやチケットの収入が劇的に増え、同選手がシニアにデビューした2005年度に約6400万円だった単年度黒字は、13年度に11億円超まで膨らんだ。国民的な人気で日本に空前のフィギュアブームを呼び込んだ功績を、小林芳子強化部長は「計り知れない」とたたえた。