世界9位の錦織圭(27=日清食品)の6年ぶりの挑戦が始まった。4大大会の前週に大会に出場するのは11年全米の前に出て以来。28日開幕の全仏に備えるためで、まずは初戦で同88位のククシュキン(カザフスタン)を6-4、6-3で退け、8強入りした。25日の準々決勝で同62位のケビン・アンダーソン(南アフリカ)と対戦する。

 錦織は第1セットの4オールで、2本のブレークポイントを握られた。しかし、そこをしのぎ、5ゲームを連取。主導権を握ると自分のサービスゲームを1度も落とさず、過去に負けたことがないククシュキンを片付けた。「体は完全にフィットしている」と言い切った。

 3月に右手首を痛めた影響で、今大会前に赤土で試合をしたのはわずか4試合。「試合数をこなしたい」と出場に踏み切った。しかし、リスクもある。「体力の面が一番心配。ここで決勝に行くと、そのまま(全仏で)2週間、戦わないといけない」ともどかしさも口にした。

 うまくバランスを取りながら、今週を乗りきるのが最良の方法だ。今のところ痛みは再発していない。だから、試合がしたいという気持ちに駆り立てられる。この日は試合中に酔っぱらった男性客2人が「カモン、ニーシー」と何度も大声を張り上げ、警備員につまみ出されるハプニングも重なった。「あれでサーブを落としていたら、怒っちゃうけどね」。ジョークも交え、まずは余裕で8強入りした。【吉松忠弘】