北京五輪で陸上男子短距離3冠に輝いたウサイン・ボルト(ジャマイカ)が8月の世界選手権(ベルリン)に向けて順調だ。6月下旬にキングストンで行われたジャマイカ選手権は100メートルで今季世界最高の9秒86を出し、アサファ・パウエル(ジャマイカ)を抑えて貫禄(かんろく)の優勝を果たした。

 向かい風0・2メートルの条件下、ボルトは序盤でリードした前世界記録保持者のパウエルを50メートル付近でとらえ、最後は指を口に当てるポーズでゴール。「課題のスタートも良かったし、加速する局面も上々。さらに状態が上がるのを楽しみにしている」と自信を見せた。

 左足首の故障で出遅れていたパウエルは9秒97で2位。ボルトも母国の先輩の復調ぶりを「アサファの状態が戻ってくれば楽しみなシーズンになる」と歓迎する。一方、6月の全米選手権で追い風参考ながら9秒75の好記録を出したタイソン・ゲイ(米国)については「彼を見くびるわけではないが、自分の世界記録(9秒69)を破るのは難しいだろう」と王者の風格を漂わせた。

 女子100メートルは向かい風1・5メートルの条件下、4月に虫垂炎の手術を受けた北京五輪金メダリストのシェリーアン・フレーザー(ジャマイカ)が今季世界最高の10秒88で制した。北京五輪に続き、今季の陸上短距離界もジャマイカ旋風が吹き荒れそうだ。