<レスリング:全日本選手権>◇第1日◇21日◇東京・代々木第二体育館

 男子フリースタイル84キロ級1回戦で史上初の親子対決が実現した。長男で18歳の白井勝太(帝京高)が45歳の父正良(福井ク)に完勝した。

 わずか1分22秒で8点を挙げた勝太は「相手が父というのは意識しなかった。テクニカルフォール勝ちを狙っていた」と胸を張った。対戦を望んだ父は「運を使いたくない」と、いつも100枚ほど買う宝くじの購入を控えたという。組み合わせ抽選で希望がかない、マットに上がる時から笑顔。「タックルも差し手も速かった。負けて晴れ晴れとした気持ちになるのは初めて。男になったな」と息子の成長に目を細めた。

 勝太は福井市内で父が主宰するクラブで3歳から腕を磨いた。幼少期は全国大会でも敵なしで、中学進学とともに日本オリンピック委員会(JOC)のエリートアカデミーに進んだ期待の星。父が「引導を渡された。これからは彼をサポートしていくだけ」と言えば、息子は「僕には五輪でメダルを取るという目標がある」と力強く応えた。