夢をあきらめずにスターとなったおじを手本に、野球で日本一を目指す。人気音楽ユニットDEENのボーカルで道産子の池森秀一のおい、池森龍(りょう)内野手(岩内第二中3年)が駒大苫小牧への推薦入学を勝ち取った。所属した余市シニアでは1番、遊撃手で副主将も務めた。音楽も大好きな15歳だが、小さいころ秀一おじさんに教わった野球でビッグになる。

 池森にとって秀一おじさんは自慢の親せきだ。母房恵さん(40)の弟で、中学生まではやはり野球少年だったという。秀一おじさんが岩内に来るたびに、キャッチボールをしてくれた思い出が忘れられない。「小学校の時、僕は投手だったから、いい球がいくとよく褒めてくれた」。父から野球は教わらなかったが、おじが相手をしてくれた。

 夢をあきらめずスターとなったおじに、生き方を学んだ。困難を少しもいとわず、むしろそれと闘ってきた。入学の決まった駒大苫小牧は小学6年時からのあこがれ。04年夏の甲子園初優勝に衝撃を受けた。「あそこでやりたい!」。日本一の高校でやるには中学も硬式でやるしかない。3町も離れた余市シニアへの入団を決意した。

 余市シニアでは100メートル11秒8の俊足を生かし1番打者。3年時には、同様に駒大苫小牧に進学し、主将として甲子園優勝に貢献した佐々木、林ら先輩も達成していないリトルシニア日本選手権初出場を果たした。進学が決まった駒大苫小牧は100人規模の野球部だが「競争が多い方が自分の力になる」とおくするところがない。昨秋の体験練習でも足をアピール。茂木雄介監督(26)も「詳しくは入ってからになるが、内野より外野が向いていそう」と守備範囲の広さに注目している。

 おじさん同様、池森も音楽が大好き。ヒップホップから演歌までとジャンルは問わない。余市に通う母の車の中は、いつも母子による大合唱になった。祖母池森タエさん(67)は05年、津軽民謡の全国大会で優勝したほどの実力で、息子の秀一おじや孫の池森もそのDNAを受け継ぐ。

 1月に札幌であったDEENのライブで数年ぶりに顔を合わせた時も「野球頑張ってるか~」と励まされた。「おじさんに負けないよう頑張る。できれば1年生からベンチ入りしたい」。名門駒大苫小牧でのデビューを最初の目標に設定した。【本郷昌幸】