男子100キロ超級の井上康生(29=綜合警備保障)が「五輪」を封印して攻めだるまに徹する。全日本選抜体重別選手権優勝から一夜明けた7日、福岡市内で会見を行った。望みをつないだ北京五輪代表の国内最終選考会となる全日本選手権(29日、日本武道館)へ、余計な重圧を避けるため「五輪」という言葉を一時封印。全日本一本に気持ちを集中させ、今回のような攻撃的な柔道を貫く。

 逆転五輪代表へ夢をつないだ男に、全盛時のオーラが戻ってきた。優勝から一夜明けた井上の言葉には、失っていた自信がにじんでいた。「このままの勢いに乗っていく。北京五輪?

 今は全日本を頑張ります。自分にプレッシャーをかけないように(全日本に)臨みたい」。

 2月のフランス国際敗退後、前に出て圧力をかける本来の柔道を取り戻すため、練習を積み重ねた。そして全日本体重別でついに結果を出した。「勝ったことで自信が生まれる。その自信と開き直りで向かっていきたい」。敗北を恐れ、消極的な柔道になっていた弱気な姿はもうなかった。

 五輪か、引退か。柔道人生を懸けた全日本は、攻めて、攻め抜く。6日の準決勝で勝った世界王者の棟田や、石井らライバルに加え、100キロ級の鈴木も出場する。「思い切りいくだけ。その気持ちを忘れずにやりたい。攻めて、1つ1つのことをやっていければ」。重圧を避け、守りに回らないために、「五輪」という言葉も封印する。

 最後の決戦に備えて「まずは体の痛みを取って、体と心と相談しながら気持ちを入れてやりたい」と話す。北京五輪代表争いの現状が厳しいことに変わりはないが「まだ僕自身が夢に向かって戦っている最中なので」と前を向いた。高校3年で初出場し、全国に自身の存在を根付かせた思い入れの強い全日本選手権で、夢を現実のものとする。【菅家大輔】