<高校総体陸上東海大会>◇2日目◇21日◇岐阜メモリアルセンター◇決勝13種目

 女子100メートルで渡辺美里(富士見3年)が、11秒91の自己ベストで東海初制覇を飾った。7月29に開幕する全国総体(埼玉・熊谷市スポーツ文化公園陸上競技場)で全国優勝を目指す。また、女子円盤投げでは1位から3位まで県勢が独占した。男子400メートルリレーでも藤枝明誠が、エース飯塚翔太(2年)をケガで欠きながらも6位で全国行きを決めた。この日は県勢25人、3チームが全国切符を手にした。

 「あれっ、何でだろう」。スタート直前、渡辺はずっと笑っていた。普段は緊張して「ガチガチになってしまう」性格が、この日は違った。スタートは「いつも通り」遅れた。しかし、30メートル付近でぐっと伸びた。高校入学後、初の東海制覇を自己ベストを0秒12更新して飾った。

 この日の準決勝。ライバルの伴野里緒(浜松市立3年)が11秒96(自己ベスト)をたたき出したのが、闘争心に火をつけた。「県1位で上がってきたので、里緒ちゃんに負けたくなかった」。富士見の1つ先輩で昨年の全国総体で100メートル4位、200メートル2位の佐野布由実(筑波大1年)に携帯メールで相談した。「やればできる!

 富士見っ子!

 がんばれ」。先輩の熱い激励で「緊張がふっとんだ。よかった」。

 小4で富士陸上で陸上を始めてから、8年間100メートル1本に懸けてきた。「まだ全国の頂点を取ったことがない。前半の入り方さえ、もっとうまくなればいけるかも」と、力強く言った。歌手の渡辺美里とは同姓同名だが「カラオケはあんまりしない」という。舞台はフィールド。この夏、フィールドのヒロインになるべく渡辺が、駆ける。【鶴智雄】