<テニス:全米オープン>◇25日(日本時間26日)◇男女シングルス1回戦◇ニューヨーク・ナショナルテニスセンター
日本男子のエース錦織圭(18=ソニー)が、全米オープンでは日本男子初のシード撃破という衝撃のデビューを飾った。第29シードで世界32位のフアン・モナコ(24=アルゼンチン)を6-2、6-2、5-7、6-2の4セットで下し、1927年に鳥羽貞三がシード選手に初挑戦して以来82年目にして記念すべき勝利を挙げた。18歳7カ月での快挙は、68年全豪で坂井利郎がつくった20歳1カ月を更新する4大大会日本男子最年少勝利となった。錦織は2回戦で、同100位のカラヌシッチ(クロアチア)と27日(日本時間28日)に対戦予定だ。
最後は強烈なバックがコートに突き刺さった。両手で思わずガッツポーズ。全米本戦の初出場でつかんだ4大大会初勝利で、錦織がまた日本のテニスの歴史を塗り替えた。「相手はシードだったし、勝てるとは思わなかった。最高の勝利」。全米で初めてシードを破る金星、4大大会最年少勝利に最高の笑みが広がった。
緊張とトップ選手相手の長いラリーで、体は極限に達していた。第4セットの第6ゲーム、40-0で、両足がけいれんした。まともに歩けない。腹筋を痛めて途中棄権したウィンブルドンの悪夢がよぎる。だが、意地があった。「体が弱い弱いと言われ続けていたので、棄権だけはしたくなかった」。治療を受け、逆に集中力を増し、攻撃に転じてモナコを突き放した。
あらゆるショットを使い、昨年ツアーで最も進歩した選手として表彰されたモナコを翻弄(ほんろう)した。得意のストロークを緩急に打ち分けた。球種を使い分けたサーブにネットプレーと、次々に繰り出す変幻自在のショットで、モナコの弱点であるバックを攻めた。初対戦でも「焦らないことが大切だと思った」と、冷静に相手を分析した。
運も味方に付けた。世界126位の錦織は、当初、予選からの出場だった。それが予選初日の19日、開始1時間前にヒューイットが本戦欠場。錦織の繰り上がり出場が決まった。「本戦に入れてラッキーだった。幸運をうまく生かせた」。予選なら3試合を勝ち上がることが必要で、消耗は避けられなかった。
けいれんは起こしたが、ようやくケガがなく大舞台で戦えた。ウィンブルドン以降、2カ月で出場したのは北京五輪だけ。戦いたいとはやる気持ちを抑え、じっくりと腹筋のリハビリと練習に努めた。ため込んだプレーへの欲求が、見事に初の金星としてはじけた。全米での日本男子の勝利は、93年松岡修造以来15年ぶり。成長を続ける「テニスの王子様」が、確実に歴史を動かし始めた。


