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尚子が現役引退、極秘帰国し28日発表

98年12月6日、バンコクアジア大会で当時の日本最高記録で優勝
98年12月6日、バンコクアジア大会で当時の日本最高記録で優勝

 2000年シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子(36=ファイテン)が、現役を引退することが27日、分かった。11月16日の東京国際を皮切りに、大阪国際(来年1月25日)、名古屋国際(同3月8日)の3大マラソンを連続で走ることを表明していたが、思うように練習が積めずに出場を断念。すでに米コロラド州ボルダーでの合宿を中止し、極秘で帰国した。28日、都内のホテルで会見し、引退を正式発表する。

 高橋が、現役から退く決意を固めた。5月31日に渡米し、ボルダーの高地などで練習を続けていたが、このほど内密で帰国。すでにマネジメント事務所が、都内ホテルの会見場を用意しており、28日に高橋が事情を説明する。

 夢半ばでの、苦渋の決断だった。3月24日に、東京国際、大阪国際、名古屋国際の国内3大マラソンに連続出場する意向を表明。「3大会連続で出るのが、昔からの夢。人生を振り返った時に後悔したくない」と話した。ファンや関係者への恩返しの意味もあったが「楽しんで走るわけでなく、1つ1つ全力で準備万端で出る」と真剣勝負を誓ってもいた。

 事実、本気で準備を進めていた。米国で6月にハーフマラソンなど2レース、9月にはボルダーマラソンに出場した。市民レースとはいえ、3連勝した。だが、本人が納得いく状態には仕上がらなかった。トップアスリートとして、国内で準備不足の走りをみせるわけにはいかなかったとみられる。

 30歳を超えて、疲労が抜けにくくなり、故障にも苦しんだ。昨年8月には、右ひざ半月板の手術を受けた。北京五輪代表を目指した3月9日の名古屋国際は、9キロ付近から遅れ、2時間44分18秒で27位。記録も順位も、97年のマラソンデビュー以降、ともにワーストだった。マネジメントを担当する安野マネジャーが2月下旬に北京五輪のコースを視察し、映像に収めるなど、本気で五輪を狙っていた。にもかかわらず、原因が分からないまま惨敗。マラソンランナーとしての実力が限界に近づいていた。

 ただし、高橋の功績は、決して色あせるわけではない。00年9月のシドニー五輪を制覇。日本陸上界にとって64年ぶり、女子では初の金メダルだった。同年10月には、国民栄誉賞を受賞した。01年9月のベルリンでは、女子で史上初めて2時間20分の壁を破る2時間19分46秒の世界記録(当時)を樹立した。希代の陸上選手だった。

 すでに高橋は、今後の活動についても、考えをめぐらせている。指導者への興味を示したこともある。陸上競技の普及にはうってつけの存在で、来年1月31日には香川県内でランニング教室を予定する。すでに2年後のイベント出演のオファーも届いている。

 「Qちゃん」の愛称で親しまれたマラソンランナーとしては一線を退くが、高橋しかできないことは、第2の人生でいくらでも残されている。

 [2008年10月28日9時0分 紙面から]


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