<スキー:全国高校スキージャンプ>◇2日目◇3日◇長野・白馬ジャンプ競技場(HS98メートル、K点90メートル)ほか

 ジャンプで、札幌光星のただ1人のスキー部員、原田侑武(3年)が2回目で94・5メートルの最長不倒をマークし、合計231・0点で逆転で初優勝した。札幌光星中1年時から、当時担任だった門脇敏巳監督(61)のもと、1人で競技を続けてきた。6年間指導し3月で定年となる同監督に、最後で最高のプレゼントを贈った。アルペンでは女子大回転で真田ひばり(北照2年)が初優勝した。

 表彰台のてっぺんで、原田と門脇監督が記念写真に納まった。人生の宝物になるだろう写真の表情はもちろん、とびっきりの笑顔だ。原田は「うれしいです。(定年を迎える)監督へのプレゼントになりました」と初優勝を喜び、門脇監督への感謝を言葉にした。

 力強く逆転した。1回目87・5メートルで首位に1・5点差の2位につけた。2回目に最長不倒の94・5メートルを飛んだ。飛型点でも出場選手中ただ1人19・0点が出る完ぺきな内容で、ひっくり返した。

 二人三脚で勝ち取った。少年団でジャンプを始めたのが札幌米里小3年のとき。その後進学した札幌光星中にはスキー部はあったが、ジャンプは選手も指導者もいなかった。原田のために顧問に手を挙げたのが、1年時の担任だった門脇監督。「競技はまったくの素人です。技術は少年団のコーチに任せています」と6年間、主にメンタル面でサポートをしてきた。

 高2の6月の練習中には、左足前十字靱帯(じんたい)を断裂する大ケガを負った。リハビリに1シーズンを費やした。「ジャンプをやめなければならないかなと思いました。なぜ僕だけが…」と投げ出したくなるときもあった。そんな苦境にも、門脇監督は心強い存在だった。「この6年間で、あのケガが一番つらかった」と今になって認めるが、おくびにも出さず常に声をかけ励ました。

 高校1年時に、世界ジュニア選手権に出場し団体で銀メダルに輝いている。ただ、一昨年のケガの影響もあり今年の世界ジュニア(5日~、チェコ)には選ばれなかった。原田は「この大会にかけてきました」、門脇監督は「最後は全国優勝で締めてくれた。これまでのすべてが報われました」と、2人での最後の戦いを終え、笑顔は絶えなかった。【黒川智章】