真央が「振り上げアクセル」でソチ行きを決める。フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ最終戦NHK杯は今日23日に宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで開幕する。22日の前日練習で、浅田真央(22=中京大)は跳躍前に大きく左足を振り上げる高難度の2回転半ジャンプ(ダブルアクセル)を披露。4位以上でシリーズ上位6人で争うファイナル(12月6日開幕、ロシア・ソチ)進出は決まるが、加点狙いの新技で、第3戦中国杯に続く、5年ぶりのシリーズ連勝を目指す。

 後ろ向きに滑る浅田の左足が前に勢いよく上がった。即座に反転して、そのまま左足で踏み切って2回転半して右足で着氷。これまでにない独特のジャンプの入り方は、「前はただダブルアクセルを跳んでいるだけだったのを、少しでも工夫して、加点をもらえるように」。成功率が上がるまで3回転半(トリプルアクセル)は封印中。代わりに、難度を上げた新技をショートプログラム(SP)の冒頭に持ってきた。

 GP初戦を飾った3週間前の中国杯。フリーで逆転勝ちしたが、ジャンプ3本が回転不足、1本は1回転足りない判定を受けた。「中国杯までは(演技の)滑り込みをしてきたんですけど、今回は難しいジャンプの練習もしてきた」。メニューを変え、宮城に来るまで改善を徹底。その中で、ロッテのエースだった村田兆治氏のマサカリ投法のように?

 大きく足を振り上げる新スタイルを完成させた。

 この日の練習では、試合で跳ばない3回転半も成功するなど、調子は上向く。GPではスケートカナダ、フランス杯を制した07年以来のシリーズ連勝、さらにソチ開催のファイナル切符もかかる。五輪の前哨戦といえる大会で、「行ってみたら少しでも五輪が近づいていることを感じられると思う」と気持ちは高まる。

 NHK杯は4戦2勝、さらに名古屋開催だった過去大会で、花束ガールも務め、「すごく楽しかった思い出があります」。優勝におごらず、難度を上げて1戦ずつ確実なレベルアップを感じる今も、浅田の滑りには楽しさが満ちている。【阿部健吾】