<スピードスケート:W杯代表選考会兼全日本距離別選手権>◇第1日◇25日◇長野・エムウエーブ

 ソチ五輪へ、美女スケーターのメダル候補が誕生した。女子1500メートルで菊池彩花(26=富士急)が1分58秒12の国内最高記録で初優勝し、W杯代表の座を確定させた。5人姉妹の次女で、五女純礼(すみれ、17)は先月、ショートトラックの全日本距離別を制したばかり。「姉妹で五輪」にも1歩前進した。エース小平奈緒(27)は4位に終わり、3連覇を逃した。

 最後まで崩れない。女子1500メートルで、菊池は169センチの長身を生かしたダイナミックなスケーティングを保ったままゴールした。W杯代表を確定させた26歳は「小平さんに勝ったことは自信になる」と爽やかなスマイルを振りまいた。

 焦らない。スタートから小平に10メートル以上の大差をつけられたが「想定内。慌てないでしっかり追いつこうと思った」と冷静に腕を振る。最終コーナーで小平をとらえると、0秒95差をつけてフィニッシュした。国内最高の1分58秒12は世界で戦えるタイム。五輪シーズン開幕戦で新たなメダル候補に浮上した。

 長野県南相木村出身。母初恵さん(52)は元国体選手でスケートクラブのコーチだった。物心ついたときには、自宅そばの立岩湖で滑った。「段ボールに入れられて、姉に背中を押されていた」と凍った湖での最初の記憶を思い出す。中学時代から全国大会優勝。往復3時間半かけて自転車で通学した佐久長聖高時代も有望選手だった。

 富士急入社5年目の23歳でW杯に初出場。だが、昨季はW杯代表権を逃すなど、不振をかこった。オフは大みそかと元日を返上。富士山5合目で3キロを走り込むなど、徹底的に体をいじめた。レース当日におどおどしていた昨季までがうそのように、自信に満ちあふれた表情でスタートラインに立つことができた。

 5人姉妹の次女。妹の純礼がショートトラックの全日本距離別で史上初の高校生優勝を飾り、W杯代表に選ばれた。オフには「あなたも五輪に出るんだよ」と励ましただけに刺激になった。富士急の黒岩彰監督からは「1位と2位では視界が違う。トップになって初めて見えることがある」と期待を寄せられた。「うれしいですけど浮かれてはいない」。ゴールがここではないことは、自分が一番分かっている。【田口潤】

 ◆菊池彩花(きくち・あやか)1987年(昭62)6月28日、長野県南相木村出身。スケートコーチだった母初恵さん(52)の影響で幼少期から競技を始めた。小海中3年では全国中学大会3000メートル優勝。佐久長聖高3年では高校総体3000メートル2位。06年に富士急に入社。W杯など国際大会に出場してきたが、五輪経験はない。5人姉妹の次女。父毅彦氏(56)は南相木村の村長。169センチ。

 ◆スピードスケートのソチ五輪代表選考法

 今大会でW杯の遠征メンバー(各種目で最大5枠)を選出する。W杯の成績で各種目の五輪出場枠(最大4人)の半数を選考。最終的には12月27日開幕の五輪代表選考会(長野)で決定する。今回から日本連盟は独自の五輪派遣標準記録を設定している。