浅田真央(23=中京大)が団体戦でのメダル獲得へ道を作る。開幕まであと37日となったソチ五輪で、フィギュアスケートの団体戦が新種目となる。10カ国の国別対抗戦で、4種目の合計ポイントで順位を競う。出場選手は直前まで非公表だが、日本がメダルを狙うにはショートプログラム(SP)の男女シングルで首位に立てるかが鍵。今季最高得点を持つ浅田と、男子の羽生結弦(19)の「最強2トップ」を投入し、勝負に出る可能性が高い。

 フィギュア界初の五輪での国同士の争いで、浅田が切り込み役を務める。開会式前日の6日に始まり、9日に結果が出る団体戦。日本連盟関係者は「メダルの狙える位置にいる。日本はシングルが強いので、その成績次第でチャンスはある」と表彰台を期待する。

 最終順位は、各4種目のSPとフリーの順位をポイント換算(1位10点、2位9点、3位8点…)して決定するが、重要度ではSPの方が高い。フリーに進めるのは5カ国のみで、「予選」の意味合いを含むからだ。ペア、アイスダンスで劣る日本は、男女シングルのSPで表彰台への道をこじ開ける必要がある。

 そこで白羽の矢が立つのが浅田だ。今季SPの世界最高得点(73・18点)を持ち、全4試合で70点超え。代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)成功がないなかでも、抜群の安定感をみせる。同じく個人戦に出る鈴木、村上と比べ、さらに金妍児の韓国は団体戦に出場しない状況を考えても、1位10点を稼げる最適な人選になる。

 日本連盟は昨年6月に団体戦出場者の選考基準を発表。SP、フリーは別の選手を出し、それぞれ今季最高得点者を起用するとしたが、その後に国際スケート連盟(ISU)から事前のメンバー公表を控えるよう要請があり、12月25日の理事会で基準取り消しを決めた。あらためて人選を進めるが、やはり浅田はSPに投入することが濃厚だ。

 「バンクーバーのときはなかった種目なので、決まってはいないですけど、楽しみが増えるのではないかと思います」。先月24日のソチ五輪発表会見で、浅田はそう話していた。悲願の金メダルを狙う個人戦との日程面での不安もあるが、逆に1度本番リンクで滑れる利点もある。団体戦のメダル、それも金メダルを狙うには、その活躍が「チームジャパン」には欠かせない。

 ◆ソチ五輪の団体戦

 出場は10カ国。4種目(男女シングル、ペア、アイスダンス)の合計ポイントで順位を競う。ショートプログラム(SP)で5カ国に絞り、フリーで優勝を争う。日本は男子シングル(羽生、町田、高橋)と女子シングル(鈴木、浅田、村上)は個人戦に出場する3人のうち2人の起用が濃厚。ペアは高橋・木原組、アイスダンスはリード姉弟組が出場。ライバル国の筆頭はカナダ。3種目で13年世界選手権メダリストをそろえる。続くのが米国、ロシア。日本は4番手グループで、男女シングルの成績が鍵になる。