<W杯スキー:ジャンプ女子>◇個人第4戦◇3日◇ロシア・チャイコフスキー(HS106メートル、K点95メートル)

 2014年の沙羅ちゃんも絶好調だ!

 2月のソチ五輪で金メダル獲得の期待がかかる高梨沙羅(17=クラレ)が、新年のW杯初戦で開幕4連勝を達成した。通算優勝回数でもライバルのサラ・ヘンドリクソン(米国)と並び、最多13勝になった。1回目に99・0メートルの121・6点でトップに立つと、2回目も96・5メートルを飛び、合計232・6点。今日4日に同会場で第5戦が行われる予定で、優勝した場合は通算で最多になる。

 氷点下約20度。動きを止めればすぐに体の芯まで冷える寒さの中、スタート台に座った高梨は、じっとアプローチを見つめた。1回目は99・0メートルを飛び、テレマークも決めると、思い切り両手を空に突き上げてガッツポーズ。100メートル超えの飛躍をした選手が2人いて最長不倒ではなかったが、5人の飛型審判のうち4人が18・5点をつける完成度の高いジャンプで、飛型点で上回った。

 2回目は96・5メートルと飛距離を伸ばせなかったが、2位のフォクト(ドイツ)を合計0・9点上回り、最多タイとなる通算13回目の優勝を手にした。W杯開幕戦からの連勝も4に伸ばした。それでも昨季の総合女王は「自分の満足いくジャンプをできなかったので、もっともっと改善しなければいけないと思う。特に2回目は体が突っ込み気味になる癖が出てしまった」と満足はしていなかった。

 ソチ五輪が行われる14年、幸先の良いスタートを切った。元日はアスリート契約している森永製菓「ウイダー」の細野恵美栄養士とともに早朝に起きて、初日の出を見た。生まれ育った北海道とは違う、海沿いの千葉県内の景色には「すごくきれいなものを見せていただいた。生まれてきてよかった」と、言葉に感情を込めた。

 練習面でも、最高の環境が整っている。昨年12月24日にW杯第3戦から帰国。北海道の実家へは帰らず、そのまま山形県に直行した。蔵王のジャンプ台は昨年、改修されたばかり。アプローチに特徴のある“ソチ五輪仕様”になっており、高梨も「苦手を克服するには慣れるのが一番」と、他に使う選手がいない“専用”のような状態でコンディションを調整することができた。

 小さな背中に、大きな期待を背負っている。まずは、W杯全勝での総合優勝という前人未到の記録。さらに、今日4日に同会場で行われる第5戦で優勝すれば通算14勝目となり、右膝の大けがでW杯に出場していないライバル、サラを超えて最多となる。同じ10代のクリネツ(スロベニア)ら若手も台頭する中で、さらに強さを磨く。

 ◆スキーW杯の日本人連勝記録

 これまでの最多はノルディック複合の荻原健司が、93年3月から94年1月にかけて、シーズンをまたいで達成した5連勝。4連勝も荻原で95年2月から同年3月にかけて記録している。3連勝は3人が達成しており、荻原のほかジャンプの船木和喜が97年12月から98年1月にかけて、スノーボードハーフパイプの青野令が07年2月から同年3月にかけて達成した。