<カーリング:日本選手権>◇第6日◇8日◇長野・軽井沢アイスパーク

 4連覇を目指す中部電力サード市川美余(24)が今季限りで寿退部する可能性があることが8日、分かった。今春にも一般男性と結婚して、中部電力カーリング部の活動から離れる選択肢が浮上。来季の新体制が固まる5月までに会社側と話し合いを持って、今後について発表する。プレーオフは札幌国際大に延長の末に8-7で逆転勝ちして決勝進出。今日9日にソチ五輪5位だったライバル北海道銀行との今季最終戦に勝って4連覇を花道とする。

 両手を広げて、抱きついた。普段はクールな市川が涙を浮かべて、スキップ藤沢と喜び合った。札幌国際大と決勝をかけた死闘。2点を追う第10エンドに同点として延長に突入。最後は不利な先攻でスチールして劇的な逆転勝ち。「ちょっとうるっときた。途中でどうなってしまうんだろう、ここで負けたらどうしようと思った」。自分の頬を指さし「(涙が)このへんまできました」と笑った。

 感極まるには訳があった。この日、市川が今春にも一般男性と結婚する予定が判明。それに伴って、今季限りで中部電力カーリング部の活動から距離を置く見通しとなった。結婚を機に同部の拠点である長野・軽井沢を離れる可能性が浮上。同部の和田監督は、市川の今後について「今季終了後に来シーズンの体制をどうするか、話し合います。市川が引退するか、しないか、チームで話し合って、しかるべきタイミングで発表します」と言った。日本カーリング協会に新シーズンの選手を登録する5月が目安に。同部はリザーブの佐藤を含めて5人が所属。市川が寿退部した場合でも、4人で試合を行うことはできる。

 同部は、社員によるクラブ活動という位置付けで、入部と退部は自由。さらに復部も個人の意思が尊重される。市川が今季限りで退部しても一定期間をおいての復部は可能。カーリングでは北海道銀行の小笠原、船山のように、結婚、出産を経て復帰する例もある。

 市川は08年4月、ソチ五輪を目標に高校卒業と入社。昨年9月に日本代表決定戦で北海道銀行に敗れた際は「ここがソチに向けて限界だった」と号泣。目標を失ったが、仲間たちと「日本選手権で4連覇しよう」と誓い合った。ソチ五輪は「1人のカーリング選手として楽しんでいました」。テレビで日本戦を観戦しながら、パソコンとスマートフォンに強豪国の映像を映したという。同時間帯に3試合を見るほどで、根っからのカーリング好きだ。

 今日9日の決勝戦が今季最終戦。今後の決断次第で、市川にとって「カーリングラストゲーム」になる可能性もある。「(ソチの道が断たれた昨年)9月は応援してくれた方々をがっかりさせた。今までの感謝を込めて、もう1度みんなで喜ぶ姿を見せたい」と市川。4連覇を、花道にする。

 ◆カーリングの結婚事情

 北海道銀行の小笠原、船山は、06年トリノ五輪後に結婚し、出産。10-11年シーズンから「カーママ」として復帰したのが有名。本橋は12年5月に一般男性と結婚。世界的にはソチ五輪で金メダルを獲得したカナダ代表の39歳のスキップ・ジョーンズがママさん選手だったように、30、40代の選手も多く、ママさん選手はごく一般的だ。