男子テニスの国別対抗戦デビスカップ(デ杯)世界グループ準々決勝チェコ戦(4日開幕・有明コロシアム)から、日本のエースで世界18位の錦織圭(24=日清食品)が代表を外れることが決まった。2日、都内で日本代表が会見。先週のソニーオープン準決勝を棄権した左股関節の炎症のため、欠場となった。代わりに同190位のダニエル太郎(21)が緊急招集された。

 奇跡の回復はならなかった。既に、覚悟を決めていただけに、サバサバした表情で、錦織は明かした。「ドクターに診てもらったが、いい感じじゃなかった。すごく出たい気持ちもあったが、出られなくなって残念」。大会期間中は応援とサポートに回る。

 3月30日に、ソニーオープンが行われたマイアミから帰国した。翌31日に主治医に診察を受け、MRI(磁気共鳴画像装置)も撮ったところ「少し異常があった」。左右のステップを切ると相当な痛みがあるようで、「とても金曜日(4日)には間に合わない」と、欠場を決断した。

 まだ今年の世界ツアーは3カ月が終わったばかり。5月には全仏、6月にはウィンブルドンと、大事な4大大会が控える。ソニーオープンで世界トップ5を連破した快進撃は、確実に実力が上がっている証拠だ。トップ10を目指す今は「無理をするところじゃない」と判断した。

 根本的な治療はなく、周辺の筋肉を強くするリハビリだけが再発を防ぐ。デ杯終了後、拠点の米フロリダに帰り、回復に努める。幸い、持病だった腰や膝などには痛みがない。「体は間違いなく強くなっていると思う」とも話した。

 復帰は「どうしても出たい」と、当初の予定通り21日からのバルセロナオープンの見込み。もし長引けば、5月4日のマスターズ大会マドリードオープンでの復帰まで視野に入れている。同25日開幕の全仏には十分に間に合う見通しだ。【吉松忠弘】