高校ラグビーの強豪、桐蔭学園3年のFB松島幸太朗(17)が南アフリカの強豪シャークス入りすることが11月30日、分かった。U-17日本代表でもある松島のもとには多くの強豪大学から誘いがあったが、亡き父ロドリックさんの母国でもある南ア行きを希望。世界最強リーグのスーパー15に属するシャークスのアカデミーからプロ契約を目指す。2019年W杯のエースとして期待される日本の切り札が、本場で得意のステップに磨きをかける。

 進路が注目された高校NO・1トライゲッターの目標は、南アフリカのプロだった。シャークス入りを決めた松島は「どこまで通用するか、試してみたい。レベルの高いところで、いろいろと吸収したい」と目を輝かせた。「不安はない。楽しみです」とも言った。

 松島が南ア行きを意識したのは、今年に入ってからだった。南アフリカ人の父と日本人の母を持つ松島にとって、南アは「第2の故郷」。1月に新聞記者だった父が急死したことも、きっかけになった。母多恵子さんも「やるからには頑張って」と背中を押してくれた。多くの強豪大学の誘いを振り切って、6歳まで育った地での挑戦を決めた。

 シャークスから下部組織のアカデミー入りを認められたのが11月上旬。来年1月下旬に出発し、アカデミーからトップチームとのプロ契約を目指す。高校ラグビーから直接海外の強豪クラブ入りするのは異例だが「自分の人生を考えて選択した。将来はスーパー15に出たい」と話した。

 松島の南ア入りには、桐蔭の藤原監督や桐蔭OBで現在イタリアでプレーし、南アでもプレー経験がある元日本代表WTB四宮らが尽力した。プレーのビデオなどを南アに送った藤原監督は「最後は本人の決断。大変なことが多いと思うけれど、松島ならできるし、松島でなければできない」と期待を口にした。

 大きな目標は19年に日本で開催されるW杯。藤原監督からは「そのままスプリングボックス(南ア代表)に入ってもいいんだぞ」と言われているが、松島自身は「日本代表として活躍したい。W杯に向けて南アで力をつけたい」と話す。近い目標は昨年決勝で涙をのんだ全国大会。同校初の日本一を目指して「東福岡を倒して優勝したい」と話した。花園初Vで南アからW杯へ-。高校ラグビー界屈指のタレントは、大きな夢に向かってトライする。