理事選挙に名乗り出た12人の親方衆は緊張感を漂わせた。2人が落選する土俵外の争いは波乱含みの様相を呈する。

 理事長返り咲きが確実となっている北の湖親方(元横綱)は「(定年までの)残された時間は相撲協会のために頑張っていこうという気持ちが強い。一つ一つ取り組んでいく」と静かな口調で意気込んだ。

 前回に大逆転当選を果たした貴乃花親方(元横綱)は2期目も出馬。支持者の前大嶽親方(元関脇貴闘力)が野球賭博問題で一昨年に解雇されたが、時津風一門など複数の中堅、若手親方が新たに票を投じる意向を示しており、当選は確実だ。立候補後は「ノーコメントで。すみません」と慎重だった。

 立浪一門からは想定外の3人が出馬。現職の友綱親方(元関脇魁輝)は「協会が前進するために少しでも力になれれば」と話す。初の立候補となる春日山親方(元幕内春日富士)と当落線上の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は届け出後に会談。春日山親方は「協力してほしいと言われたが、そんなに票が余っていない」と複雑な表情だ。

 理事復帰をにらむ九重親方(元横綱千代の富士)は「後でそういう機会がある」と投票当日の演説に意欲。62歳で初出馬し、当選確実な楯山親方(元関脇玉ノ富士)は票の流出を引き締める二所ノ関一門の会合後に「先人が築いたものを受け継ぎ、元の相撲界に返ることが大事だ」と古参親方らしい決意表明だった。