<大相撲九州場所>◇千秋楽◇23日◇福岡国際センター

 長い歴史を誇る大相撲で、大鵬の優勝32回は双葉山の69連勝とともに不滅の大記録とされてきた。大鵬に並んだ白鵬にとって、対抗馬不在の現状や意識の高さからすれば、金字塔ですら通過点。優勝40回も現実味を帯びつつある。

 白鵬は自らの歩みを「探究の旅」と表現する。場所中の朝稽古でも四股、すり足などの基本運動だけは絶対に欠かさない。「とにかく日々発見がある。自分は相撲も好きだけど、それ以上に新しいものを発見することが大好きだ」と熱弁する。

 先場所3日目の朝、ぶつかり稽古で三段目力士に胸を出した時だ。土俵際から軽く押し返した瞬間に「こんな体の使い方があったのか」とひらめき、その日から寄り身に力感が増したという。

 他の力士は付いていけない。今場所もトップを走った鶴竜が終盤戦で自滅し、日馬富士や稀勢の里は序盤から取りこぼした。気が付けば白鵬が先頭に立ち、いつも通りの流れで節目の優勝を難なく手にした。

 師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)は「32回を超えたら自分だけの記録になる。35回まではいくが、その先は自分で目標を立てていくしかない」と展望する。白鵬の一人旅は、まだまだ続く。