野球賭博問題で、大嶽親方(42=元関脇貴闘力)と大関琴光喜(34=佐渡ケ嶽)が相撲界から「追放」されることが決まった。理事会で名古屋場所開催条件として特別調査委勧告を受け入れたことで、2人の解雇以上の処分が事実上決定。時津風親方(36=元前頭時津海)は降格以上で「(3人の)懲戒手続きを開始する」(特別調査委伊藤座長=協会外部理事)という。7月4日の臨時理事会、評議員会で正式に決まる。

 大嶽親方の厳罰理由について特別調査委メンバーは、野球賭博で膨らんだ借金の返済に困り、琴光喜から2000万~3000万円の借金をしていたことが判明したと説明。「琴光喜の(賭博への)賭け金の大半は大嶽親方の分だった」とし、琴光喜が1回1万~5万円、大嶽親方は20万~50万円だったことも分かった。また、琴光喜が3000万円負けたという話は「最初の警察の調書が全部琴光喜のものだとなってしまったらしい。現在の調書は別々の賭け金と記載されているというのが琴光喜の説明です」と明かした。

 大嶽親方は27日、相撲協会に退職届と、現在借り株で部屋を持てない大嶽部屋付きの二子山親方(元十両大竜)の年寄「大嶽」への名跡変更を届け出て部屋継承を図った。協会は退職届は受理しなかったが、部屋継承については処分決定後に理事会決議があれば、存続の道はある。部屋には戻っていない大嶽親方は、電話取材に対し憔悴(しょうすい)した様子で「部屋がどうなるかが…」と言葉を詰まらせた。

 特別調査委の今回の処分勧告でもっとも重視したのが理事会への虚偽申告。伊藤座長は「3人が大問題なのはウソを言ったこと。ウソの重みが(処分勧告の)7割ぐらい」と話した。評議員会に出た時津風親方は「謹慎しています」と神妙だったが、代償は大きい。

 特別調査委では、野球賭博の背後にあるとみられる暴力団との関係には「警察に一任している。いわゆる胴元的な役割をした者はいなかった」として踏み込まず、処分が決まらなかったのは「警察の動きを見極めながら」と説明。警察の捜査次第ではさらに問題が大きくなる可能性もある。