第2の人生も暴れます!

 知人男性に暴行したとして2月に引退した元横綱朝青龍関(30)の引退断髪披露大相撲が3日、東京・両国国技館で行われた。各界の著名人ら約380人がはさみを入れ、最後は土俵に惜別のキス。土俵入り後は涙した元暴れん坊横綱は、約1万人のファンを前に「30から40歳の朝青龍はもっと大変なことになります」と威勢よく宣言した。政界や実業界などからラブコールを送られる「希代の横綱」は、喜怒哀楽いっぱいに土俵へ別れを告げた。

 朝青龍は、最後まで朝青龍だった。午後3時7分、善悪まじりの伝説を残した元横綱が、ついにまげを切った。暗転した国技館を、すすり泣く声が包む。花束を抱えた朝青龍は一礼し、土俵を降りた。「ケガしたり喜んだり、すべてこの土俵だった。土俵に感謝ですよ」。前かがみになると、汗と涙が詰まった聖地の土俵に熱烈なキス。花道では、何度もしかられたガッツポーズを披露するなど、最後まで魅せた。

 国技館に1万人。品格を問われ続けた「お騒がせ横綱」は、一方で多くのファンに愛されていた。計7カ国の政財界要人や有名芸能人、はさみを持つ顔ぶれも多彩。「お母さんに言われたから」と、土俵の上では泣かず、涙の代わりに見せたのは威勢の良さだった。

 朝青龍

 私の中では2つの心臓が動いています。1つは生んでくれたモンゴル、もう1つは育ててくれた日本という国。2つの国を一番愛しております。これから素晴らしい人生を歩んでいきます。30から40歳の朝青龍は、もっと大変なことになります。

 引退後は、母国モンゴルで政財界の人脈を築く。芸能活動も行っている。今後については「政治もひとつ」と言いながら「暴れます。目標あるからね。達成したら言うよ。もっと立派な人になって」と、もったいぶって明かさない。ただ、異国の「国技」で頂点に立った20代よりも輝きたい意気込みは、みなぎっていた。

 7カ月ぶりの大銀杏(おおいちょう)を結ったのは、08年末で定年退職した元床寿の日向端隆寿さん(66)だった。「日本の父」に「もう1度人生やれるならどうする」と聞かれ、考えた。「大和魂を持った日本人に生まれ変わりたい。日本人の横綱として生まれ変わりたい。そして外国から来た横綱とやりたい」。弟分の日馬富士と、97年9月に一緒に来日した朝赤龍を従えた最後の土俵入り後は、目に涙をためていた。

 計画した「丸刈り」や「ベッカムヘア」でなく、まずは律義に?

 師匠と同じオールバックにした。両親やタミル元夫人らに囲まれ「男前か?」と胸を張り、薄紫のネクタイをキリリ。本名のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏は「横綱朝青龍」について「このままが朝青龍じゃないかな。私は腹黒じゃない。相撲も速攻だし、言葉も速攻だからね。それだけですよ」という。優勝25回、史上初の7連覇、ファン太郎にサッカー騒動も…。「希代の横綱」第2の人生も、何かをやる予感がする。【近間康隆】