<大相撲名古屋場所>◇13日目◇19日◇愛知県体育館
横綱白鵬(28=宮城野)が、朝青龍を超える歴代単独3位の26回目の優勝を決めた。大関琴欧洲(30)を寄り切りで下し、13戦無敗。前日12日目に痛めた右脇腹痛もテーピングで固定して耐えた。13日目での優勝決定は5回目となり、千代の富士(現九重親方)を抜く歴代1位。3場所連続優勝で、春場所初日から続く連勝も43に伸ばした。
白鵬の気迫はすさまじかった。「大きい相手なので、とにかく動き勝つつもりでいきました。早い相撲で勝負をつけたい気持ちがありましたから」。12秒9。今場所初めてといっていいほどの鬼気迫る集中力。琴欧洲の右腕をたぐった。のど輪に、つっぱりも残された。まわしが取れないとみるや、再び右腕をつかんで体勢を崩した。左上手を取った。すり足ではなかった。3度跳びはねるようにして寄り切った。
痛みはひどかったが「骨折もなかったんだから、全然問題ない。大ケガではない」と弱みは見せなかった。立ち遅れた11日目の鶴竜戦で痛め、前日の琴奨菊戦で悪化させた右脇腹。師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)によると「夜は痛くて声にならなかった」。打撲と軽い肉離れ。4本の太いテーピングで固定して土俵に上がった。普段の取組前は支度部屋で汗だくになるほど体を動かすが、柔軟運動など最低限に抑えた。
周囲の支援も大きかった。トレーナーには、泊まり込みでマッサージなどをしてもらった。この日の早朝には、昨年から指導を受ける予防医学の山田先生が駆けつけてくれた。マグネシウムや炭などを配合した特殊な“湿布薬”で患部を冷やした。「かなりの熱をもっていました。昼までには痛みが緩和できたみたいです。今場所は最高の状態にきていたのにもったいない」と山田氏は説明した。
2敗の碧山が敗れたため、13日目での優勝が決まった。5度目は史上初。双葉山の69連勝に近づいている連勝記録も継続させ「ホッとしました」と本音ももらした。「優勝というのは特別にうれしいもの。あと2日は伸び伸びとやっていきたい」と全勝優勝にこだわる姿勢は変わらない。
優勝26回は朝青龍を超え、次は31回の千代の富士(現九重親方)が目標となる。九重親方は場所前に「横綱は精神面は強いけど、ケガをして気持ちが弱くなれば、衰えるのは早いよ。常にベストコンディションで臨めるようにしないと」と激励した。ケガを負っても気持ちはまったく折れなかった。長い相撲でも苦しさを見せなかった。残り2日は稀勢の里、日馬富士戦。「体」の危機にも屈しない「心」の強さが白鵬には備わっている。【鎌田直秀】

