3年ぶりに関取に返り咲いた炎鵬(31=伊勢ケ浜)が、十両復帰戦を白星で飾った。栃大海を押し出しで撃破した。23年夏場所で脊髄(せきずい)損傷の大けがを負い、十両から陥落。7場所連続休場を乗り越え、序ノ口から番付を戻した。母の日に、会場へ駆けつけた中村由美子さん(64)らに感謝の白星を届けた。

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人気力士が返り咲いた。十両炎鵬が土俵に上がると、大きな歓声が響き渡った。「おかえり」「祝関取復帰」「ド根性」。観客席のバナーは目に入らないほど集中した。「パワーを背中で受け、自分の力に変えよう」。167センチの小兵が、193センチを力強く押し出した。藤色の締め込み姿で、3年ぶりの十両勝利。「最高ですね」とほほ笑んだ。

力士人生は終わりかけていた。十両だった23年夏場所。初日から9連敗した。20年に痛めた首をかばいながら戦う日々。ついに限界に達し、動けなくなった。病院へ運ばれ、診断は「脊髄まひ」。すぐに手術が必要なほどの大けがだった。

メスは入れなかったが、日常生活にも苦労した。わずかな移動も車いす。相撲を諦めるように言われ、涙がこぼれる日もあった。それでも母は「悔いのないように最後までやりなさい」と背中を押してくれた。「他の人がダメでも俺だったら分からない」。己を信じて、復帰への道を歩んだ。

24年名古屋場所で7場所ぶりに土俵に立った。復帰から11場所で十両に復帰。幕内から序ノ口に転落し、関取復帰は史上初だった。「ちょうど3年前、この1勝ができなかった」と9連敗で休場した夏場所を思い返した。「つくづく、今日までやってきてよかった。あの日を塗り替えることができた」とホッとした。

復帰戦は母の日。母に見守られながら勝利し「巡り合わせだと思う。毎日心配してくれた。白星を届けられた」と喜んだ。「怖さはあった。関取はまだ慣れない」と吐露しつつ「相撲を取れることに感謝したい。あきらめなければどうにでもなると見せたい」。土俵から力強いメッセージを送った。炎鵬にしかできない相撲がある。【飯岡大暉】

▼八角理事長(元横綱北勝海) 豊昇龍は空回りだ。右を巻き替えて残ったが、右足が流れて伸びた。炎鵬のケガは私たちも心配していた。鍛えても鍛えきれない箇所がある。今場所は勝ち越しを目指して頑張ってほしい。

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