卓球の世界選手権は28日から5月5日まで横浜アリーナで開催される。北京五輪のシングルスでは男女とも中国がメダルを独占したが、今大会もこの強豪に他国・地域が挑むことになる。
▽欧州の衰退
男子は1980、90年代にスウェーデンやフランスから世界王者が出た時期もあったが、近年は欧州勢の衰退が著しい。日本卓球協会の松下浩二理事は「ドイツを除く欧州はジュニア選手を育てる仕組みが未熟。その点はアジアの方が組織的だ」と話す。
地方の代表から省の代表に選ばれ、激しい競争を勝ち抜いたトップが国を背負う。卓球が国技の中国ではスーパーリーグを頂点にしたピラミッド型の強化システムが完成されている。世界選手権の直前にスーパーリーグの1つ下の甲Aリーグで強化を図る平野早矢香(ミキハウス)は「甲Aでも中国代表と同じぐらいの実力を持った選手がいる」と層の厚さに驚く。
▽国籍変更が増加
中国では国内の競争の激しさで80年代から海外で競技生活を行う選手が増え、アジアや欧州の代表には国籍変更した「元中国選手」が目立ち始めた。国際卓球連盟(ITTF)は2008年9月以降に国籍変更した選手に対し、世界選手権やW杯への出場制限を設けた。だが、この規制は五輪に適用されない。15歳で日本に来た日本代表の吉田海偉(フリー)は「五輪に影響がなければ、出ていく選手は減らないのでは」と効果を疑問視する。
中国1強の構図は卓球人気にも陰りをもたらす。「国際大会でもかつての熱気はなく、スーパーリーグも人気が落ち始めた」(月刊誌「卓球王国」今野昇編集長)。卓球の発展や普及に危機感を抱き始めた中国では国内に国際的なトレーニングセンターを設立し、国籍を問わず選手のレベルを引き上げる計画も持ち上がっている。(共同)



