連勝を続けるオリックスには、育てながら勝つというコンセプトが感じられる。先発の田嶋は直近の5試合で1勝3敗。いずれも5回前後を投げ、12日広島戦は無失点で3勝目、5日中日戦は4失点、5月29日ヤクルト戦は6失点、22日ソフトバンク戦は7失点という成績。

それでも中嶋監督はローテーションから外さない。立ち上がりから全力で投げるあまり、ボールが抜ける場面も目立つ。3回までに50球以上を要し、球数、内容ともにベンチには我慢が求められた。

6回途中まで粘り1失点。山岡が早々と降板した前日に7投手をつぎ込んでおり、少しでも中継ぎ陣を休ませたい。田嶋に試合を託した点を考慮すると、6回途中はギリギリまで引っ張ったと言えた。

攻撃面では紅林の先制アーチが効いた。1-1から真ん中低めの真っすぐを1、2の3で捉えた分かりやすいスイング。ここまで紅林はリーグ最多の10失策。守備の課題は多いがベンチが我慢して起用したからこその先制アーチだ。

オリックスベンチの我慢が実っての勝利。対して日本ハムには、育てることに重きを置いているのか、勝つために最善を尽くしているのか、疑問が残る試合だった。

具体的には2点を追う6回無死二塁。高浜の空振り三振には、追い込まれてから最低でも右方向へ打ち、走者を進めようという意識は見えなかった。その後、適時打で1点は返したが、前日の試合も残塁14を数えており、こうしたバッティングをチーム内で考えなければ、最下位に沈む現状打開は見えてこない。

オリックスは37年ぶりの11連勝。非情な表現になるが山本、宮城という柱を持つオリックスからすれば、低迷する日本ハム相手に田嶋で粘り勝つのは極めて現実的な選択と言えた。

春先までは同じような苦境だった両チームが、みるみる離れていくさまを見ると、ベンチワークを含めたチーム力の浮沈は残酷なくらい如実に出ていた。(日刊スポーツ評論家)

オリックス対日本ハム 6回裏オリックス1死一塁、先発池田の交代を告げる栗山監督(撮影・清水貴仁)
オリックス対日本ハム 6回裏オリックス1死一塁、先発池田の交代を告げる栗山監督(撮影・清水貴仁)