日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(68)が広島とのオープン戦をチェックし、「速球対策」と「拙守」という阪神のここ数年の課題をあらためて指摘した。意識次第で改善は可能。首脳陣を含め、オープン戦終盤のこの時期に問題解決に動くことを提言した。【聞き手=田口真一郎】


キャンプからオープン戦の前半にかけて、やっておかないといけないことがある。打者でいえば、速い球を何とか一発でしとめるということが、その1つだ。直球で最も打ちづらいのは、ストライクゾーンでいうと内角高めになる。これを狙って打てるという段階まで調整し、そこから、落ちる球や逃げる球など変化球をどうやって追いかけるか、という応用に入る。

この日の阪神の各バッターで、キレのいい速い球を一発でしとめる打者は見当たらなかった。広島の先発玉村はスピードがあるタイプではないが、キレに押され気味だった。いろいろ試せる時期だからこそ、自分の打撃を変えるぐらいの意識で、速い球を打つ調整をしておかないと。相手投手が真っすぐを打たれると感じ、変化球で逃げ出したら打者としては追いかけやすく、優位に立てる。その点では、物足りなかった。直球をしっかり打つというのは、最近のタイガースのテーマになっているが、課題を克服しないと、今年もシーズンで苦戦する。

もう1つ気になったのが、外野の守備だ。初回の大盛の二塁打は左翼のロハスが処理したが、あれはシングルヒットに抑えてほしいところだ。できない選手ではないだろう。センターに俊足の近本がいるので、任せたらいいと思っているのが見える。今のうちに、意識づけをしておく必要がある。さらに初回の守備では、末包の右中間への飛球を、近本がギリギリで捕り、ファインプレーのように見えた。しかし実際には遠回りして落下点に入っていた。ライトが捕ると思い、後ろに回ったのか、打球判断を間違えたのか。

この日の印象でいえば、外野のコンビネーションという点で、迷いを感じた。佐藤輝は三塁との併用でここまできたということもある。左翼も競争で複数の選手を試すというのも理解できるが、センターと両翼が顔を見合わせるということがなければ、遠慮せずにボールが追える。外野の守備は1日でできるというものではない。右翼も左翼も大事な守備位置のひとつだ。特に外野のミスは失点につながる。まだ開幕まで時間はあり、意識次第で改善できる。首脳陣はこの時期に厳しくチェックしたほうがいい。

オープン戦阪神対広島 1回表広島無死、大盛穂の左二塁打の打球を処理するメル・ロハス・ジュニア(撮影・前岡正明)
オープン戦阪神対広島 1回表広島無死、大盛穂の左二塁打の打球を処理するメル・ロハス・ジュニア(撮影・前岡正明)
オープン戦阪神対広島 1回表広島1死一塁、末包昇大の中飛を好捕する阪神近本光司(撮影・前岡正明)
オープン戦阪神対広島 1回表広島1死一塁、末包昇大の中飛を好捕する阪神近本光司(撮影・前岡正明)