広島は「日本生命セ・パ交流戦」オリックス1回戦(マツダスタジアム)で逆転負けを喫した。1回に先制しながら、先発大瀬良が失点を重ねた。日刊スポーツ評論家の緒方孝市氏(53)は先発陣の疲労を指摘し、流れが悪いときこそチームに求められる姿勢を説いた。【聞き手=前原淳】

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交流戦折り返し初戦も、広島の流れの悪さを表すような敗戦となった。得失点は紙一重。1点ビハインドの3回2死一、二塁で坂倉の遊ゴロは中堅へ抜けそうな当たりで、4回に走塁妨害を取られた場面も際どい判定だった。紙一重の部分で裏目にいくのが、今の広島なのかもしれない。

この日先発の大瀬良は下半身に粘りがなく、すべての球種の球離れが早い。多彩な球種を駆使してゲームメークするのも持ち味だが、前回5月27日ソフトバンク戦同様、投球の軸となる直球の力が弱い。直球の割合の低さにも表れている。人一倍責任感の強い投手だから表情には決して出さない。ただ、ふとしたしぐさから、フラストレーションを感じているように映る。交流戦でもう1度登板機会があるだろうが、休養を考えていいかもしれない。大瀬良だけでなく、暑さが増す交流戦のタイミングで先発陣に疲労の色が見える。交流戦までは先発陣の安定感がつなぎの攻撃を支えていたが、交流戦では序盤から失点を重ねる試合展開となったことで、攻撃にも影響しているように感じる。

長いシーズン、流れが悪いことは必ずある。ただ、待つだけでは悪い流れを変えられない。この日の大瀬良の状態を見て、4回の場面で思い切って代打を送るのもひとつだった。5回、3巡目に失った4点目は非常に痛かった。結果論ではなく、流れが悪いときこそ動かなければいけない。スタメン起用したとしても、小園や堂林の打席内容を見て、得点機で代打を送ってもいい。

1回無死一塁からの犠打が先制点につながったように、序盤からの犠打は今季のひとつの形だろう。長いペナントレースを勝ち抜くには、攻撃のバリエーションが求められる。このような悪い流れのときこそ、単独スチールやヒットエンドランなど動いて変えていかなければいけない。流れが悪い今こそ、待つのではなく、動くことが大切だ。(日刊スポーツ評論家)

交流戦広島対オリックス 5回表オリックス2死一、二塁、マッカーシーに右適時打を打たれた大瀬良。左は会沢(撮影・加藤孝規)
交流戦広島対オリックス 5回表オリックス2死一、二塁、マッカーシーに右適時打を打たれた大瀬良。左は会沢(撮影・加藤孝規)