佐々木は初回からデビュー登板の緊張感をボールにぶつけるように投げていた。全力以上のパワーで投げて、力みもありながら3者凡退に抑えるいい立ち上がりを見せた。しかし、2回先頭四球を出して、走者を出してからリズムを崩したように見えた。実際に直後の打席でピッチクロック違反をとられた。日本でのメジャー初登板ではあるが、日米の違いに慣れていく必要がある修正点が見えた。

まず1つは、味方が攻撃時にベンチ横でのキャッチボールがないこと。日本では2死になると、キャッチボールを投げて次のイニングの準備をすることができるが、メジャーではそれができない。2回と3回の先頭初球いずれもボール球だったのも、影響があったのかもしれない。さらにそこに、ピッチクロックという日本にはない制限も加わる。

もともと佐々木は走者ありの場面で、間合いが長いタイプの投手だ。セットに入ってから時間をかけながら間合いをはかり、バッテリー間のサインが合わなければ首を振る。しかし走者ありの場面は15秒間で投球動作に入らないといけない。ピッチコムによる伝達で、自分が投げたい球種のサインがくるまで時間がかかる。日本開催とはいえ、投球環境という面ではこれだけ違ってくる。

もう1つは2盗塁決められ、そのいずれも完全にフォームを盗まれていたこと。決してクイックが遅い投手ではない。何か癖があるのかもしれない。これも修正していかないといけない。ただこういった課題が出たデビュー登板だったが、悲観する必要はまったくない。ストライクゾーンに入った直球のファウルは9個もあった。直球がメジャー選手に通用することは間違いない。

少し気になるのはスプリット。ちょっと浮くような感じがするので、日本のときとは少し軌道が変わっているのかもしれない。3回1死二塁の場面で、1番ハップに簡単にスプリットを見逃されて四球を与えた。日米の公式球の違いは、日本人メジャー選手の誰もが通る道。すべてがそう簡単にうまくいくわけじゃない。最後、4番ブッシュと5番ショーから連続三振を奪ったときも、サインに首を振っていた。バッテリー間のコンビネーションも少しずつ詰めていけばいい。

球数56球だったことを考えれば、できればもう1イニング投げる姿を見たかった。ただ今日出た課題を1つ1つつぶしてクリアにしていけばいい。新しい佐々木朗希をつくっていく第1歩としては、決して悪いデビュー戦ではなかったと思う。(日刊スポーツ評論家)

カブス対ドジャース 3回裏途中、佐々木(中央)の元に集まるドジャースナイン(撮影・横山健太)
カブス対ドジャース 3回裏途中、佐々木(中央)の元に集まるドジャースナイン(撮影・横山健太)
カブス対ドジャース 1回裏終了後、チェックを受けるドジャース佐々木(撮影・横山健太)
カブス対ドジャース 1回裏終了後、チェックを受けるドジャース佐々木(撮影・横山健太)