楽天元監督の平石洋介氏(45)がソフトバンク-楽天9回戦(みずほペイペイドーム)を評論した。先発のミゲル・ヤフーレ投手(27)はじめ投手陣の好投を評価する一方で、9回の辰己涼介外野手(28)の走塁に注目。勝負の分かれ目で“冷静さ”の必要を説いた。
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敗れはしたが、楽天はヤフーレの好投が収穫だ。ソフトバンク打線に対し、1回り目は柳町(左飛)以外は全てゴロ。中村の中前打もゴロを打たせたもの。持ち味を発揮し、引っかけさせていった。だが、2回り目に入るとフライを打たれ出し、5回に秋広の二塁打から失点した。
当然、ソフトバンク側はヤフーレの球が動くことは把握していたはず。打者は情報を元に準備し、イメージをもって打席に入る。1回り目は、そのイメージ以上に球が動いていたのだろう。2回り目で、きっちり対応してきた。さすがのソフトバンク打線だった。それでも7回3安打1失点は立派。先日のハワードに加え、ここにきて先発投手のコマが増えたのは大きい。
ソフトバンクの上沢も非常に良かった。8回を終え117球。個人的には、まだ行ってほしかったし、上沢も投げられたと思う。オスナに交代となり、楽天ベンチはむしろ「ラッキー」と思ったのではないか。とはいえ、敵の守護神から、先頭の宗山がよく三塁打を打った。無死二、三塁からの辰己の右前同点打も素晴らしかった。最後まで諦めない姿勢は、チームの財産となる。
しかし、問題はこの後だ。辰己が単打から二塁を狙い、憤死。結局、勝ち越し点は取れなかった。辰己が二塁を狙ったのは、右翼柳町の本塁返球が高かったからだ。内野への中継ではなく、ダイレクトに本塁に投げるのを見て一塁を蹴った。このこと自体はセオリー。決して暴走ではない。
それでも、9回の勝ち越し機。大前提として、絶対にアウトになってはいけなかった。捕手の海野は本塁返球に対し、前に出て捕球、二塁に転送し辰己の二進を阻止した。二塁走者はホームまで狙ってこないとみて、二塁転送に切り替える好判断だった。
辰己に話を戻す。二塁で刺された後、なお1死三塁だったが、後が続かなかった。もし、辰己が一塁で自重していれば、無死一、三塁。ここで考えて欲しいのは、オスナのクイックに辰己の足であれば、二盗できた可能性が高いということだ。実際、前打者の中島は二盗を決めている。また、9回同点の一、三塁で一塁走者が動いても、捕手は三塁走者の生還だけはさせられない。二塁には投げてこなかったのではないか。さらに、一、三塁なら内野は前進も考えられる。なおさら、二盗はしやすくなる。
繰り返すが、辰己はよく打った。二塁を狙ったのも決して暴走ではない。それでも、狙う以上は絶対にアウトにならないこと。一塁で自重していても、無死二、三塁にできた可能性は高かった。そうなれば、9回に勝ち越し点を奪えたかもしれない。打撃技術と身体能力に優れた選手。勝負の分かれ目で冷静になることで、さらに活躍できるはずだ。
リリーフ陣は、この日もよく投げた。最後、12回1死満塁で西垣に代えたのは、フォークがあるからだろう。フライを打たせるタイプの今野よりも、三振か内野ゴロを打たせたかったのだと思う。結果、牧原大に初球フォークを捉えられた。おそらく、打者はフォーク一本に絞っていた。相手の読みがちだ。裏を返せば、楽天ベンチとしてベストの選択をした継投であり、やむを得ない。それだけに、勝ち越せるときに勝ち越したかった。(日刊スポーツ評論家)




