野球ファンにとって月曜は特別な日。先週を振り返って、今週に思いをはせる。識者に回顧と展望を聞いた。パ・リーグ編は小谷正勝氏(80=日刊スポーツ客員評論家)。
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先週のプロ野球でベストプレーを挙げるとするならば、日本ハムが13日のオリックス戦で決めた2ランスクイズではないだろうか。
リードを2点に広げた直後、7回1死満塁。打者五十幡。1ストライクからの2球目にサインが出た。五十幡は着実に転がし、三塁走者の万波が生還。オリックスの九里がわずかにボールを握り直し、一塁に投げた瞬間、代走で三塁に到達していた水野が本塁に突っ込み、間一髪で陥れた。
それぞれが役目を果たした中でも、わずかなスキを見逃さず、最善のタイミングで突入した水野と三塁コーチャーは「これぞプロ」の技術だ。九里のうつろな表情が、ダメージの深さを物語っていた。
新庄監督は「しかし、みんなすごいわ」と選手を褒めていた。この何げないひと言に、立派な資質を感じた。やることなすこと派手だが、こと本業においては「野球は、選手とコーチがやるものだ」という普遍の真理を、よく理解しておられる。ゲームでは、監督が悪目立ちしてはいけない。
個性を殺さない指導をベースにしているから、一芸に秀でた選手が多い。当てにいくような指導もしていないので、右打ちのチーム打撃でも全力で振ってくる。スピードと強さが両立しており、見ていて楽しい。
ピッチャーもタイプが一様でなく、個人的には金村尚真投手が好みだ。球持ちが非常に良く、おそらく投げる瞬間、相手が何を待っているか分かるはずだ。ボールに派手さはなくとも完投能力が高い。監督の人選やスカウティングを含め、チームに奥行きを感じる。
今、一番面白い野球をする日本ハムだか、特に若い選手に1つ注文がある。ヒーローインタビューはもっと若者らしく爽やかに、失敗してもいいから自分の言葉で、面白おかしく振る舞ってみてはどうだろう。ベテランのようにお行儀よくもいいが、プロはプレー以外でもファンを喜ばせてこそ。新庄監督が現役の当時は、何をしでかすか分からない楽しさがあった。
順当に首位に立った。後は、新庄監督がいつスイッチを入れてくるか。新型コロナの影響か、つけたままの黒マスクをいつ外して采配を振るのか。楽しみに見ている。(日刊スポーツ客員評論家)




