確信に近づいた。13日の中日戦で巨人吉川尚が松坂からプロ1号を放った。平成の怪物を倒した1発に「一生忘れられない」と振り返った。世代の差を考えれば松坂の横浜高時代の春夏連覇、ノーヒットノーラン、PL学園との延長再試合…といった数々の伝説がピンとこないだろう。でも「一生忘れられない」1発になったことは紛れもない事実だ。

 自信が確信に変わった-。プロ1年目の松坂大輔がイチローと対戦した後に言った言葉だ。吉川尚は開幕から2番・二塁のレギュラーとして試合に出続けている。巨人が長らく課題としていた二塁手の定位置を確立しようとしている。メジャーでは最強と説かれている「2番」だが、日本球界では“日本人らしさ”が詰まった打順ではないだろうか。つなぎ、小技、自己犠牲、2番打者には多様な制限がかかる。日本人特有の器用さ、緻密さが最も発揮できる打順とも言える。

 プロ2年目。クリーンアップを担う岡本と若武者の象徴として期待がかかる。16日のヤクルト戦でプロ初の適時打三塁打もマークした。「とにかく必死にやるだけなので」。控えめな口調にも少しずつ自信が芽生えているように見える。【巨人担当=為田聡史】