あれは、日本ハムのルーキー清宮幸太郎内野手の19歳の誕生日だった。試合前に栗山英樹監督(57)が突然、自分語りを始めた。
「オレは能力のない選手だったけど、プロへの憧れはあった。1番(プロの世界から)遠ざかっていたのが、19歳の時だったかもしれない」
東京学芸大に入学し、アルバイトをしながらリーグ戦に出場していた、あの頃。いわゆる名門や強豪校の選手とは訳が違う。プロへの強い憧れとは裏腹に、置かれている現実は、夢からは遠く離れている気がした。
「よく言われるんだけど『お前は東京6大学だったらプロには行ってないな』って。そうかもしれないね。周りに才能のある選手がいっぱいいて、諦めていたかも。離れれば、離れるほど、夢を見ちゃう」
誰だって、夢を見る。時に迷いながらも、青臭い情熱を失わず、覚悟を決めたからこそ、今があるのだ。周りが驚くような夢だって、構わない。夢は見るだけのものじゃなく、努力すれば近づけると知っているから。「だから、選手を信じて使ってあげられる」という栗山監督の言葉は、いつにも増して重く響いた。
投打二刀流で今や日米の話題をさらう大谷しかり、868本塁打の世界記録更新を公言してプロ入りした清宮しかり。からかいや批判の声など、栗山監督の耳には入らない。むしろ、本人が強く思うならば、大きな夢を描く手助けをしたいと思っている。選手に寄り添った育成方針で数々のスターを輩出したフロントもさることながら、栗山監督の「信じる力」こそが、日本ハム最大の武器なのだと思う。【日本ハム担当 中島宙恵】





